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緑黄色社会が「MTV Unplugged」で見せた新たな魅力

2023.3.14(火)

緑黄色社会
緑黄色社会

緑黄色社会が出演する「MTV Unplugged Presents: Ryokuoushoku Shakai」が、4月1日(土)にMTVで放送される。

同番組は、世界中のトップアーティストが出演し、独創的で個性あふれるアコースティックライブの源流として歴史を刻んできた伝統的な音楽番組で、緑黄色社会はアコースティックアレンジで「Shout Baby」「Mela!」「sabotage」といった代表曲や、椎名林檎の「ありあまる富」のカバーを披露する。

今回、有観客のライブ形式で行われた収録後のメンバーにインタビューを行い、ライブを終えた感想、音作りのこだわり、注目ポイントなどについて語ってもらった。

長屋晴子
長屋晴子

――ライブを終えた感想は?

小林壱誓「アコースティックで長尺のライブって初めてだったので、アレンジを変えてみたりだとか、準備も必然的に時間がかかったし、今終わってすごくほっとしている気持ちとやって良かったなっていう気持ちが半々ですね」

穴見真吾「率直に『やっぱり音の力ってすごいんだな』という思いと、『楽しかったな』という気持ちでした。どれだけテクノロジーが発展してもアコースティックライブでもちゃんと盛り上がれるっていう、ずっと受け継がれた音楽の力っていうのは本当に尊いんだなと思いました」

長屋晴子「原点に帰ったような楽しさがありました。バンドを組んだ頃って、クリックも聴かずにコードとかも分からない状態でセッションを楽しむような、ゼロから作り上げていくような感覚が楽しくて無邪気に楽しんでいたんですけど、その頃の感覚を取り戻したような楽しさがありました」

peppe「これまで名だたるアーティストの皆さんが出演されてきたというところから、すごく緊張していて...。キーボードの椅子に座った瞬間は本当に心臓の音が過去一で聞こえてきたくらい緊張していたんですけど、いざ1音目を鳴らしてみたら、緊張で冷たくなっていた手がすごく温かくなって、『楽しめているんだな』って感じました。それからは、集中しないと手が飛んでいっちゃいそうなくらい楽しんで演奏できました(笑)」

小林壱誓
小林壱誓

――始まる前は緊張されていたのですね。

長屋「普段の自分たちのライブも緊張はしているのですが、今日に関しては味わったことのない緊張...(笑)。こういうものが初めてだったので、"未知との遭遇"みたいな。『何が起きるんだろう、これから』という緊張感でした」

――アコースティックライブということで、音作りのこだわった点や苦労したところは?

長屋「まず編成を決めるところから始まって、自分たちにとっても挑戦というか、今までやってきたアコースティックより音が増えたアコースティックだったんです。だから、アプローチの仕方が変わって、今までアコースティックでやっていた曲でも、『ここはコード弾いてみよう』とか『ここはメインパート弾いてみようか』みたいなことをスタジオ内で結構やりました」

穴見「音作りっていう観点で言うと、いつもの体制でやっている時の方が大変ですね。素の音で成立するアンサンブルなので、逆にプレイでどこまで見せられるかっていうのはありました。その場で完成する感が本当に強くて!バンドの場合だと計算して音作りもしているので、なんとなく完成した図が見えているんですけど、今日は誰かが盛り上がるとつられて盛り上がるというような作用がありました」

長屋「そうだね。やっぱりアコースティックになると、そういう"揺らぎ"みたいなものが、やる側もそうだし、聴く側も楽しむポイントなのかなと思っていたので、同じものが本当に無かったです」

peppe「緊張していたんですけど、終わってみたらクセになっちゃいました(笑)」

peppe
peppe

――注目してほしいポイントは?

小林「いつもよりも長屋の歌の細かいニュアンスが聴けるんじゃないかなと。そういうところに注目してもらいたいですね」

穴見「注目ポイントしかないんですけど(笑)、例えば『ミチヲユケ』という曲は本来の音源でもジャズっぽい要素があるんですけど、それがアコースティックの方がより思い描いていたものに近づいたと思います」

長屋「まずはストリングスの神アレンジ。弦を入れてやることはあったんですけど、こういうふうに長尺で何曲もやることは無くて。しかも、そもそもストリングスが入っていない曲でも入れてもらったんですよ。そのアレンジが素晴らし過ぎて!人によってはアコースティックって、物足りなさを感じてしまうかもしれないんですけど、今回はアレンジで一切そういうものを感じさせないライブができたんじゃないかなって思います。

あと、カバー曲ですね。『ありあまる富』をやらせてもらったんですけど、個人的にもバンド的にも思い入れのある曲だったので、今の緑黄色社会で更新されたような気がして! また、こういう厚みのあるカバーってしたことなかった気がして、それもすごく嬉しかったです」

peppe「"揺らぎ"です。普段のバンドサウンドはクリックを聴いていることが多いので1曲通して同じテンポなんですけど、今回は1番と2番でテンポが自然とどんどん変わっていくし、イントロを弾くにしても、その人のその時の感情でテンポが決まる。さらに、そこにストリングスが入ることで、点で正確に打つというよりも、ちょっと遅らせていたり、"揺らぎ"につられて揺らいだりしたので、そこを聴いてみてください」

小林「peppeの良さがすごく出るよね」

穴見「本当に!元々クラシックだし」

peppe「ストリングスのおかげで、すごくいいグルーヴで演奏させていただきました」

穴見真吾
穴見真吾

――ボーカリストとしては、バンドサウンドとアコースティックでの気持ちの違いなどはありますか?

長屋「バンドって分かりやすく音の厚みが分厚くて、テンションが高揚していく感じが自ずと生まれるんですよ。大きい音って楽しいじゃないですか。そういうものを楽しんでいたり、あとは音の合わせ方を楽しんでいて、音色で遊んでみたりとかコード感を楽しんでみたりとか。そういうテクニカルなことを楽しんでいる感覚で、バンドの音圧に負けじと自分もテンションを上げて戦いに行くような感じ。

アコースティックは、細かいフレットを移動させる音とか雑音でさえ聴こえてしまう繊細な場所なので、より歌詞だったりメロディの良さとか、音楽の"そのもの"を伝えようというところに意識を置いて歌っています」

――最後に視聴者の方々、ファンの皆さんにメッセージをお願いします。

長屋「今日来てくださった方や、これから放送を観てくださる方もそうなんですけど、このアンプラグドの音楽って、意外と普段聴いている音楽とまた違うところにいる気がするんですよ。そういう意味で新しいものに出合って、『こういう音楽も素敵なんだよ』っていう楽しさや喜びみたいなものを第一に感じ取ってもらいたいなと思います。また、映像を観ても、私たち自身すごく楽しかったから、きっとそれが伝わるんじゃないかなと思います。普段のライブではなかなか観られないような曲もできて、選りすぐりのライブになったと思うので、ぜひ見逃さないでもらいたいと切実に思います!」

小林「本当に二度とやるか分からない...。まあ、やりたいなとは思うんですけど、こういう機会をいただかないと叶わなかったりもするので。そういう意味でも、すごく貴重な機会だったと思うので、ぜひ観てほしいなと思います」

peppe「感情がすごく乗って、普段よりも細かい表情だったり、細かいタッチだったりが、きっと表現されていると思うので、その雰囲気を存分に味わっていただきたいなと思います」

穴見「いろんな音を削ぎ落とし、加工していない緑黄色社会の刺し身盛り合わせ、とくと召し上がれ!(笑)」

文=原田健 撮影=中川容邦

放送情報

MTV Unplugged Presents: Ryokuoushoku Shakai
放送日時:2023年4月1日(土)21:00~
チャンネル:MTV
※放送スケジュールは変更になる場合があります