都営住宅の空き戸数予測にAI活用
2024.10.22(火)

東京都は人工知能(AI)を用いて都営住宅の空き戸数を予測する実証実験を2023年中にも開始する。地理情報システムの開発を手がけるスタートアップ、マイクロベース(東京都文京区)と連携し、実証実験の結果を元に24年以降の導入を目指す。
実証実験は東京都が実施する「キングサーモンプロジェクト」の一環。同プロジェクトでは、スタートアップ企業と都が抱える課題をマッチングし、企業が提供するサービスを用いた実証実験を行う。実験の結果、都の認定に至れば、東京都の各部署で契約が可能となる。
マイクロベースは6月、都営住宅の運営課題を解決するスタートアップ企業として選ばれた。過去の入退去の情報を学習させたAI「MiraiE.ai(ミラーエドットエーアイ)」を用い、入居審査や入居者公募を効率化する。
日本経済新聞によると、都の担当者は「より多くの都民に迅速に都営住宅を提供できるようにしたい」とコメント。スタートアップの技術により、都営住宅の入退去管理の円滑化を期待する。
退去から公募までの一連の業務を加速させる
都営住宅は低所得者を対象に低家賃で貸し出している住宅だ。都内には約26万戸が供給されており、住民の退去により空室が発生すると、その分を公募する。
従来、こうした都営住宅の入退去の管理は都の担当者が手作業で行い、退去から公募まで時間がかかっていた。「ミラーエドットエーアイ」を用いることで、空き戸数を予測する精度を高め、退去から公募までの時間短縮に繋げる。
入居審査もAIで効率化する。これまでは紙で提出された書類を都の職員らが手作業で確認していた。書類の照合や所得基準の判別をAIが自動で行い、審査時間の短縮を図る。
「ミラーエドットエーアイ」は政府が抱える空き家関連業務の効率化を目的として開発された。政府や企業のデータを活用し、現在から将来までの空き家状況をAIで予測する。すでに都内4市と愛知県豊田市で実証実験を実施し、5年後の空き家予測精度が92%との結果が得られた。
【関連リンク】
・都営住宅 AIで空室予測 都、入居者増へ新興と連携(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72231220W3A620C2L83000/
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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