グーグル・ディープマインド、有害な遺伝子変異をAI予測
2024.10.22(火)

米IT大手グーグル傘下のグーグル・ディープマインドは、人工知能(AI)を用いて有害な遺伝子変異を予測するプログラムを開発した。「ミスセンス変異」と呼ばれる遺伝子のDNA配列が1文字だけ変わる変異の影響を予測した。
新たなプログラムは「AlphaMissense(アルファミスセンス)」と呼ばれる。遺伝子変異に関連する病気の解明や治療法の開発に貢献できるほか、希少な疾患の研究に役立つ可能性がある。
プログラムには同社が以前開発したタンパク質の立体構造を予測するAI「AlphaFold(アルファホールド)」の技術を応用した。71000万ものタンパク質の配列を入力してトレーニングしたAIが組み込まれている。
人間を含めた生物の遺伝情報はDNAに記録されている。DNAの塩基配列が変化すると、異常なタンパク質が作られてしまうことがある。特にたった1文字のDNA配列が変化する変異を「ミスセンス変異」という。
タンパク質の変異のほとんどは良性だが、一部は病気の原因になる可能性がある。ミスセンス変異は遺伝子疾患やがんなどの重大な病気を引き起こす恐れがあるとされる。人間で起こりうるミスセンス変異は約7100万種類に及ぶ。
グーグル・ディープマインドによると、新たなAIプログラムはミスセンス変異の約9割を分類できるという。これまで悪性か良性か判断がついているのは2%のみ。適切な判断ができれば、より適切な治療を選択できるようになる。
使用には慎重な判断を
医学的な分野でのAIツールの使用には賛否両論がある。専門家は慎重な判断を呼びかけている。
特にDNA配列のような遺伝情報を扱う場合、個人情報の取り扱いにも十分留意する必要がある。グーグル・ディープマインドの新たなツールは医学的に大きな進歩をもたらす一方、使用に伴う課題にも注意が必要だ。
【関連リンク】
・疾患リスク、AIで予測(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO74825600Y3A920C2TJK000/
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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