亀梨和也、杏と共演し、子役時代の鈴木福が繊細な恋心を表現した作品「映画 妖怪人間ベム」
2025.3.30(日)
テレビを観ていて「あ、あの子役の子こんなに大きくなったのか...」と感じたことがある人は少なくないだろう。それもそのはずで子役というのは時に物語で大きな役割を担い、人の心に残る。今回はそんな子役だった俳優・鈴木福がキーパーソンとなった「映画 妖怪人間ベム」を紹介しよう。
本作は2011年に日本テレビ系列で放送された漫画を原作とする実写化ドラマ「妖怪人間ベム」の劇場版として2012年に公開された作品だ。漫画「妖怪人間ベム」はアニメにもなり数多くのファンを獲得してきた作品で実写化の際には再現性を心配したファンも多かったが、公開されたドラマはオリジナル要素を加えながらも漫画への忠実な姿勢も忘れず数多くのファンを新たに獲得した。
「妖怪人間ベム」のキャッチフレーズは「はやく人間になりたい」主人公は妖怪人間ベム・ベラ・ベロでそれぞれ亀梨和也、杏、鈴木福が演じた。この3人は偶然の産物により生まれた生命体で普段は人間と大差ない風貌をしているが、感情の昂ぶりに応じて妖怪になってしまう。だが、変身時の恐ろしい風貌とは反するように彼らは「善」の心を持っており作中で数多くの人間を助けてきた。
(C)ADK/2012「映画 妖怪人間ベム」製作委員会
劇場版では、ある土地で特定の製薬会社の社員ばかりを狙った連続事件に出会う。その事件現場には巨大な爪痕が残されており、不審に思ったベムたちが事件を調べる。一方ベロはひょんなことからみちるという少女に恋をしてしまう。一見すると関係が無さそうな少女であったがベムは少女の父親と亡くなった母親がこの事件に関係していたのではないかと訝しむ...
■子役時代の鈴木福がみせる子供なりの大人な表現
劇場版では善と悪をテーマにし、かなりダークなストーリーが続く。そこに差し込まれるベロの恋心は光の側面を持っており物語の展開的にも演出的にも鍵を握る。鈴木福はまだ小学生ながらも恋心や人に対する喜怒哀楽を身体と表情で表現しており、まるで大人の恋愛映画の結末のように最後の場面での妖怪状態のベロの台詞は響いた。
また、みちるが「化け物は優しい」と告げた時の鈴木福の表情は、幼さを残しながらも妖怪人間として様々な人を助けてきた大人としての側面があることを感じさせるような繊細な表情をしていた。それは鈴木福の俳優としての実力もあるが、子役として変声期前の役者だから可能な芝居でもあり印象的になるのも頷ける。成人し俳優としてこれからどのような芝居を我々にみせてくれるのか期待は高まるばかりだ。
文=田中諒
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