映画「PERFECT DAYS」にみる役所広司の圧倒的存在感
2025.3.30(日)
第76回カンヌ国際映画祭で役所広司が最優秀男優賞を獲得した映画「PERFECT DAYS」が4月6日(日)に日本映画専門チャンネルで放送される。渋谷のトイレ清掃員として働く男が過ごす日常を、ドイツの名匠ヴィム・ヴェンダース監督が、まるでドキュメントのように追う手法。劇中、気を引くような大きな事件や事故は起きない。それでも125分という時間のなか、常に役所が演じた平山という男の行動から目が離せなくなるのだ。
■役所広司でなければ成立しない作品
役所が演じる平山は、日が昇るとともに起き、植物に水をあげ、身支度をしてトイレ清掃の仕事に向かい、帰宅後眠りにつくというルーティンを大切にしている男。しかしルーティンとはいえ、毎日まったく同じ日常はない。ちょっとした変化に心躍らされ、幸せだと感じることもあれば、イラっとすることもある。
そんな機微を丁寧に切り取った本作。エンターテインメントのセオリーでいえば、人々の感情の変化をドラスティックに切り取って提示することこそ、劇的欲求を満たす表現方法だと言えるだろうが、ある意味で真逆のやり方で、人の豊かさを表現しようとしている。
実際、役所演じる平山は、ともにトイレ清掃をするタカシ(柄本時生)や、タカシが熱を上げているアヤ(アオイヤマダ)、さらには行きつけの店のマスターとの会話など、人と接する機会もある。その都度、心が動くようなエピソードはあるものの、平山は感情的な言葉を投げかけるわけでもなく、ちょっとした喜怒哀楽を目線や仕草、微妙な表情で表現している。
物語前半、ほぼ言葉を発することはない平山。しかし、毎日ルーティンをこなす彼を見続けていると、自然と平山が「いま楽しそうだ」「少しイライラしている」などの感情が伝わってくる。そして直接的な表現ではないから、さらに彼を注視したくなる。気がつけば、彼がどんなことを考えているかが分かるようになっているのだ。ちょっとした仕草や態度で変化を表現していることで、直接的に喜怒哀楽を伝えられるよりも、人物に感情移入できるのだ。
■ラストの笑顔をどう解釈するか、役所広司の圧倒的な表現

ある意味で、非常に実験的な作品だ。まず平山を演じられる人間は限られている。話さず、ほぼ変化がないと思われる日常のなかでも、変化していることを、あざとい表現でなく伝えることができる技術が要求される。ヴェンダース監督が、役所の俳優としての実力に全幅の信頼を置いているからこそできる演出と言えるだろう。
前半から中盤まで、とにかく丁寧に平山の日常を追うことで、後半のちょっとしたドラマチックな展開がより心に沁みる。それは平山が、存在が気になって通う居酒屋のママ(石川さゆり)の元夫・友山(三浦友和)と対峙するシーン。友山はある秘密を抱えているが、平山は友山と言葉を交わすことで、自分のなかにあるさまざまな感情に気づく。そして「何も変わらないなんて、そんな馬鹿な話ないですよ」と思いを吐露する。

そしてラスト。仕事場に向かう車のなかで、平山を正面からアップで映し出すシーンだ。かなりの長回しのなか、役所は朝焼けに向かって笑顔を見せる。その笑顔は生きることの喜び、悲しみ、苦しさ、希望というどんな解釈でも出来る表情だ。約2時間にわたって平山と共に過ごしてきた視聴者が、最後平山の笑顔からどんな感情を受け取るのか―。最後まで役所劇場を堪能できる圧倒的な映画だ。
文=磯部正和
放送情報【スカパー!】
PERFECT DAYS
放送日時:4月6日(日)21:00~ほか
放送チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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