美空ひばりの演じる江戸っ子がハマり役!「べらんめぇ芸者」シリーズの第3弾!
2025.3.29(土)
今回紹介するのは、「べらんめぇ芸者」シリーズより第3作「続々べらんめぇ芸者」だ。
「べらんめぇ芸者」シリーズは美空ひばり演じる芸者の小春がハマり役として人気を博したシリーズで美しい歌声と等身大の演技力で沢山のファンを魅了した作品である。シリーズ第3作目には高倉健を迎え、物語はまた新たな波乱万丈へと踏み出した。
(C)東映
今回の物語は小春たちがモーターボートで海に出かけた時に1人の男性を海に落としてしまったことから始まる。その男は雄作(高倉健)という名前で高級ホテルのボーイをしているらしかった。普段は男嫌いで通している小春であるが、振る舞いに反して精悍な顔立ちに思わず興味をそそられる。それから数日たち、座敷で乱暴する客が現れた際に偶々通った雄作が暴漢たちを撃退するに至った。さらには小春にイミテーションだがダイヤの指輪をプレゼント。すっかり惚れ込んだ小春は雄作に思いを寄せるが、次の日の紙面に全く同じダイヤの指輪の写真と共に盗難品の記事がでる。訝しむ1人の仲間が雄作に尋ねると雄作は悪びれることなく「盗難品だ」と告げた。2人の恋模様はここから思わぬ顛末へと転がっていく。
■歌唱力と表現力、どちらも欠けていない確かな芝居
(C)東映
シリーズ第3作目となり、美空ひばり演じる小春の魅了は輝きを放っていた。代名詞の歌は特に雄作と恋愛のジンクスがある橋の下で過ごした時の歌声が素晴らしい。哀愁をまとった語り口で聞かせたかと思えば、酒に酔って自暴自棄になった際には意図的に曲の乱れをいれつつ怒りや悲しみをダイレクトと届けていた。ミュージカルともまた違う、美空ひばりの演歌ならではの表現力を確かに感じる。
また、小春は江戸っ子で男勝りの賢い芸者。他の芸者をまとめるリーダーシップを発揮しておりどっしりと構えた芝居をしている。そんな小春がコロッと恋に落ちるのだが観ている側も展開に圧倒される。だが、それが不思議と不快ではなくむしろ最近の映画にはない素直さと下町の元気で真っ直ぐな芸者の姿に自然と惹かれる。雄作を演じた高倉健も流石の芝居でどことなく品がある二枚目を演じていたが、映画全体の雰囲気を柔和にそれでいて安心して没入できるように作り上げたのは美空演じる小春の違和感の無さだといえるだろう。
1960年製作ということもあり、今の若い世代で観たことがある人は数少ないだろうが美空ひばりと高倉健を知らないという人は少ないだろう。現代のネットを介した恋模様とは全く違う恋の道を是非とも世代問わず、一度観てみては。
文=田中諒
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