中村雅俊&小川眞由美、昭和を代表する名優2人のコミカルな名演をご堪能あれ。映画「ねずみ小僧怪盗伝」
2025.3.26(水)

数々の名優を輩出してきた文学座。中村雅俊と小川真由美(現・小川眞由美)も、その座員だった。
小川は、1961年に田村秋子の推薦で文学座附属研究所の第一期研究生として入所。同期の寺田農や樹木希林らと芝居の研さんを積み、ドラマ「孤独の賭け」(1963~1964年、NETテレビ系)で一気にスターダムへとのし上がり、1965年に座員に昇格。1970年代では主演を務めたドラマ「浮世絵 女ねずみ小僧」(1971~1974年、フジテレビ系)シリーズなどで人気を博した。

(C)1984松竹株式会社
一方、中村は大学生だった1973年に文学座附属演劇研究所に入所し、大学卒業と同時に入団。文学座の先輩である松田優作の紹介でプロデューサーの岡田晋吉の目に留まり、ドラマ「太陽にほえろ!」(1972~1986年、日本テレビ系)の84話にゲスト出演してデビュー。ドラマ「われら青春!」(1974年、日本テレビ系)で主役に抜擢され、人気を獲得。以降、数々の映画やドラマ、ミュージカルに出演するだけでなく、ミュージシャンとしても活躍。
そんな昭和の芸能史に名を刻む2人が共演した作品が映画「ねずみ小僧怪盗伝」(1984年)だ。同作品は、昼は麦とろ屋、夜は"ねずみ小僧"となって活躍する姉弟の姿を喜劇タッチで描いた時代劇コメディーで、今見ても十分楽しめるエンターテインメント作品だ。というのも、よくある義賊の活躍を描いた「ねずみ小僧」が主役の物語とは違い、「ねずみ小僧」のディティールはそのままに、さまざまな変則的な設定を設けているところがポイントとなっている。

(C)1984松竹株式会社
深夜、金竜寺境内にある麦とろ屋の一室から次郎吉(中村)が動き始める。次郎吉は黒装束に身を包み、豪商の家を狙って金品を盗み出す"ねずみ小僧"だったが、実のところ夢遊病者で、姉・お駒(小川)が"ねずみ小僧"となって盗品を貧しい人々に配って歩いていた。町は"ねずみ小僧"のうわさでもちきりになる一方、品川沖に黒船が控え外国使節を迎えている手前、貧民対策に躍起となっている幕府は、遠山の金四郎(中条きよし)に"ねずみ小僧"退治をまかす。
この、"ねずみ小僧"が姉弟である点や、次郎吉が夢遊病者であること、金四郎の登場など、設定がエンターテインメント性を高めており、ドタバタコメディーの柱となっている。特に、次郎吉が夢遊病者であるため夜中の出来事の記憶がなく、ブタやニワトリのみならず、記憶喪失の女性を盗んでくるなど、夜ごと舞い込んでくるトラブルの数々に右往左往する姿は思わずクスリとさせられる。

(C)1984松竹株式会社
そんな中で、やはり作品の中軸を担っているのが小川と中村のコミカルな芝居だ。お駒の次郎吉を起こす際の荒さだったり、ちゃきちゃきとしたお駒とちょっととぼけた雰囲気の次郎吉という対照的なキャラクター、同時期に恋に落ちてしまった時の反応など、2人が織り成すコミカルな芝居がシリアスなシーンにも軽やかさを与えており、最後まで愉快な気分で観る者を引っ張っていく。
コミカルな芝居というのは実は難易度が高く、"役としては真剣に生きていながらも、観る者を笑わせなければならない"という、演じながらも俯瞰的な視点を持って芝居しなければならないのだが、2人の芝居には一挙手一投足に"おかしみ"がある。クライマックスに向けて発展していくドタバタ加減や怒涛の展開、合間に流れるコミカルな音楽なども、作品のエンターテインメント性に一役買っているが、やはり2人の芝居なくしてはこの作品の魅力は生まれなかっただろう。
互いに俳優として10年、20年とキャリアを重ねて脂が乗っている時期の作品でもあり、その実力が十二分に発揮された良作。ぜひ、昭和を代表する名優2人のコミカルな名演を堪能してほしい。
文=原田健
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