多部未華子が三浦春馬演じる王子様に出会い、ちょっとずつ成長する少女を好演!映画「君に届け」
2025.2.27(木)
累計発行部数1000万部を誇る椎名軽穂の大人気コミックを2010年に実写映画化した「君に届け」。本作で、暗い容姿から"貞子"と揶揄されている女子高生・黒沼爽子を演じているのが、いまや実力派女優として映像から引っ張りだこの多部未華子だ。
■"やり過ぎ"になりがちなキャラを実写として成立させた多部未華子の丁寧な演技!
(C)2010映画「君に届け」製作委員会 (C)椎名軽穂/集英社
いまから15年前に劇場公開された「君に届け」。多部が演じるヒロイン・黒沼爽子は、雰囲気が暗く、黒髪で長髪、前髪により目が隠れがちのため、周囲から"貞子"と呼ばれ「目が合ったら呪われる」と揶揄されているような女子高生だ。
当然のことながら自分に自信がなく、黒目も焦点を相手に合わせることができずに、キョロキョロしがち。クラスメイトからも"怖い"と避けられており、"ぼっち"の日常を過ごす。それでも、爽子は誰が見ていなくても、自転車が倒れていれば直すし、ごみも拾う。人の気持ちを考え行動する"優しい"女子だ。
ある意味でステレオタイプのヒロインとも言える。さらに三浦春馬演じる、登場すると"爽やかな風"が吹くような風早翔太が、そんな真面目で一生懸命な爽子の良さを理解するという、まさに胸キュンラブストーリーの王道のような展開。
しかし、本作がいわゆる"ベタ"でありながらも、共感できるのが、爽子がドラスティックに変化していかないところ。爽子は翔太という王子様的な存在に出会いつつも、自己肯定感の低さから、すぐには変われない。ちょっといいことがあると、少し前髪から目が見えるようになるが、また傷つくことがあると後退し、暗い表情に戻る。2時間8分という時間のなかで、このちょっとずつ、ちょっとずつ前に進んでいく爽子はとてもリアルだ。その絶妙なさじ加減は、その後の多部の真骨頂ともいえる丁寧な演技に続いているように感じられる。
こういう個性的なキャラクターは、ややもすると変化のタイミングで"やりすぎ"てしまう危険性もあるが、実写として成立させているのは多部の演技力の高さなのだろう。
(C)2010映画「君に届け」製作委員会 (C)椎名軽穂/集英社
■友情物語が作品をよりエモーショナルなものに!
本作で恋模様を繰り広げた多部と三浦は、この作品での共演後、2014年にはドラマ「僕のいた時間」、2019年公開の映画「アイネクライネナハトムジーク」で共演しており、二人の距離感に安心感を覚えているファンも多いのではないだろうか。
また本作が、翔太と爽子の可愛らしい恋物語であるなか、よりエモーショナルな味つけになっているのが、友情物語的な要素が強いこと。クラスで浮いていた爽子の優しさや純粋さに惹かれ、いつしか行動を共にすることになった千鶴(蓮佛美沙子)、あやね(夏菜)との友情に涙させられることも多かった。「君に届け」というタイトルの通り、自分の思いが相手に届いたときの喜びは筆舌にも尽くしがたい...そんなハッピーを、奥ゆかしくつつましやかに表現した多部、三浦の芝居をぜひ堪能したい。
また「ARATA」名義で出演している井浦新の"バカっぽ過ぎるが核心をつく教師"・新井一市のハイな演技も大注目だ。
文=磯部正和
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