江口洋介と本木雅弘が初共演で感情をぶつけあう演技を見せた映画「天空の蜂」
2025.2.27(木)

東野圭吾が1995年に発表した小説をベースに江口洋介主演で映画化した社会派サスペンスアクションが「天空の蜂」(2015年)だ。俳優として第一線を走ってきた同世代の江口と本木雅弘が初共演したことでも話題となった。本作のメガホンをとったのは「トリック」、実写版「20世紀少年」、「SPEC」シリーズなどでおなじみの堤幸彦。仲間由紀恵、綾野剛、向井理らも出演している。本作は最新鋭の超巨大ヘリ「ビッグB」を遠隔操作でハイジャックし、高速増殖炉「新陽」に墜落させようとする原発テロの攻防戦を描いたもの。原作が出版された1995年といえば阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件と未曾有の災害やテロが起こった年だが、映画公開の4年前には東日本大震災で大津波が原子力発電所も襲い、テーマがよりリアルに響いてくる作品となった。江口が演じているのは「ビッグB」の設計士で好奇心でヘリに忍び込んだ小学生の父親である湯原。発電所の設計士、三島を本木雅弘が演じている。

(C)2015「天空の蜂」製作委員会
墜落までのタイムリミットは8時間。原発の上空でホバリングする無人の巨大ヘリに取り残された息子を救出すべく、知恵を絞り、実行に移す前半からして手に汗握るが、異なる考えを持つ技術者を演じた江口と本木の火花を散らす演技、アクションは大きな見どころとなっている。綾野が演じるのは「ビッグB」を地上で操る「天空の蜂」と名乗る雑賀。三島の恋人の赤嶺を仲間が演じている。
■鬼気迫る江口と本木の演技バトルに息を呑む

(C)2015「天空の蜂」製作委員会
「新陽」を除く全ての日本の原発を停止しろというハイジャック犯の要求が出される中、三島は状況を冷静に分析。息子を何としても救いたいと懇願する湯原の手をふりはらう。主要な登場人物の中で、最もストレートで熱い性格なのが湯原。三島も雑賀も赤嶺も心に深い傷を負った人物として描かれている。最悪のケースを回避するための議論が現場で交わされ、ベテラン刑事、室伏(柄本明)の聞き込みによって事件の裏にある過去の出来事が徐々に見えてくる中、日本の危機を命賭けで救おうとする湯原と国家や人間に対してシニカルな視点を持つ三島の衝突は激化していく。三島が抱えてきた絶望が暴走し、湯原を巻き込んでスピードを上げていくカーアクションや、拳銃を手に至近距離で睨み合うシーンは江口と本木の演技が迫力たっぷり。家族を失うかもしれない事件に巻き込まれ、覚醒した主人公が赤い炎なら、クールな顔の裏に狂気を隠す三島は青い炎。お互いのポテンシャルを引き出し合うような江口と本木の芝居がスリリングだ。
■エンターテインメント性と深いメッセージが刺さる
上空400メートルのヘリから身を乗り出すアクションに挑戦した江口、スタントマンなしの逃走劇が壮絶な綾野、堤監督と組んだ「トリック」とは全く違うシリアスな演技を見せる仲間。エンターテインメント性のある作品でありながら、"危ういバランスの中で人間が生きていることを忘れてはならないのではないか?"と考えずにはいられないのが本作だ。
三島は「原子炉は人類に微笑むこともあれば牙をむくこともある」という言葉を残すが、原子炉を"自然"という言葉に置き換えても当てはまるように思う。普遍的なテーマを孕んでいる作品の映像化だからこそ、見る時代によって様々な問いかけを残す。なお、向井理が航空自衛隊員を演じるラストシーンは原作にはない部分。深いテーマを受け止めた上で身体を張った俳優たちの演技に心動かされる。
文=山本弘子
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