ガレッジセール・ゴリこと照屋年之監督の最新作『かなさんどー』主演の松田るか「最後のシーンで全部が繋がる、ぜひエンドロールまで見てほしい」
2025.1.31(金)

2025年1月31日(金)に沖縄で先行公開され、2025年2月21日(金)に全国公開される映画「かなさんどー」。
"かなさんどー"とは沖縄の方言で"愛おしい"という意味。
本作は沖縄県・伊江島を舞台に、独自の死生観と笑いを交えて描く"家族の愛と許しの物語"。
美花は、母が亡くなる間際に助けを求めてかけた電話を取らなかった父を許せず家を出た。認知症で余命わずかの父と7年ぶりに再会する―。
お笑いコンビ「ガレッジセール」で"ゴリ"として活躍する傍ら映画作りに真摯に向き合う照屋年之監督のもとに、ドラマやミュージカルなど若手女優として幅広く飛躍し続ける松田るかをはじめ、劇団四季出身でドラマ、映画、舞台など多方面で活躍する堀内敬子、ハリウッドでも活躍する浅野忠信ら実力派俳優陣が集結。
今回は照屋監督と主人公美花を演じた松田るかにインタビュー。作品についてや撮影のエピソード、お互いの印象など、たっぷりと語ってもらった。

(C)「かなさんどー」製作委員会
――今回の映画を制作するに至るまでの経緯を教えていただけますでしょうか?
照屋「『演じる女』という満島ひかりさん主演の短編映画が元にあり、その作品を長編にしてみたいという願望があったので、90分に拡大しました」
――『演じる女』はどのようなきっかけでつくられた作品だったのですか?
照屋「みんなが『こういう出口だろうな』と思って扉を開けたら、全く違った景色が見えた、というようなミスリードをする作品を作ってみたかったんです。僕は、映画のエンドロールにあるNGシーンを見るのがすごく好きで、エンドロールがクライマックスになる映画を撮ってみたいなと思っていました。『演じる女』の映画本編を見終わった観客の方は少しモヤモヤしているはずなんです。その後エンドロールが流れて、写真が出た時にクライマックスで『伝えたかったのはこれか!』と泣ける。驚きの中でも、感動がある作品というのをやってみたくて。そのような実験的な作品は短編映画だからこそ挑戦できたのですが、『演じる女』をお客さんにも受け入れてもらったので、長編でもいけるなと思って今回撮らせていただきました」
――松田さんはどのように役作りをされましたか?
松田「役作りの面では、大きな苦労はなかったですが、民謡を歌ったことがなかったので、チャレンジでした。方言を使えることが嬉しかったです。東京に出てからは方言を抑えようとしていたので『こんなに方言出していいんだ!』とすごく嬉しかったですね。また沖縄を題材にしているので、食器や縁側などのひとつひとつに沖縄らしさを感じて、懐かしさと楽しさがありました」

(C)「かなさんどー」製作委員会
――監督は松田さんの演じる美花を見て、どんな印象でしたか?
照屋「年寄りを騙す悪女や、母親に甘える1人娘、そして最後は亡くなった母を演じる娘...といろんな人間を演じるので難しかったと思うんです。役者として役を演じる中で、その役がまた違う役を演じる、というすごく複雑なことをやり遂げてくださったので、お見事な女優さんだなと思っています」
――美花を通して伝えたかったことはありますか?
照屋「美花を"かなさんどー(愛おしい)"と思うところは、余命いくばくかで痴呆症も入っている父の最後をどうやって見送ってあげるのかという時に、自分の父への憎しみの感情は横に置いといて、お母さんの服を着て、お母さんの化粧品でメイクをして、お母さんを演じながら、最後まで看取ってあげる美花の姿。世の中の男子全員好きになりますよ。全員が『かなさんどー』と言いたくなりますよね」
松田「すごく慈悲深いですよね」
照屋「そういう美花の愛しい部分は見てもらいたいです。人をどこまで許せるのか、人をどう看取るのが最善なのか、というみんなが直面するものの中で『美花はこの方法をとったよ、皆さんどう思いますか』ということです。看取り方も、許す許さないもたくさんある選択肢の中の1つを美花を通して伝えたという感じです」
――松田さんを美花役として選ばれた時の決め手はありましたか?
照屋「美花は年寄りの財産を狙って騙すシーンがあるのですが...実際に松田さんはプライベートでお年寄りを騙したんだよな?」
松田「もう(笑)ボケる時はゴリさんの最初の音でわかります。なんか違う(笑)それがわかるようになるくらい、たくさん対話を重ねました(笑)」
照屋「くやしいなー、読まれたか(笑)。松田さんは器用なんです。嫌味な役も、おしとやかな役も演じられるくらい器用で、歌も上手です。松田さんのことは映像を観て、しっかり調べてオファーさせていただきました」

(C)「かなさんどー」製作委員会
――松田さんが初めて監督とお会いした時の印象はいかがでしたか?
松田「ゴリエちゃんやペコリナイトのイメージがあるので、アクティブで元気な方だという印象でした。お会いしたときは、すごく真面目で、仕事や作品をすごく愛して子供のように大切にしていらっしゃる印象でした。いい意味でギャップを感じましたね。ゴリさんとして出る時と照屋監督として出る時を使い分けているんだろうなとすごく感じます」
――お2人とも沖縄出身ですが、沖縄・伊江島で撮影した際の印象的な場所やエピソードはありましたか?
松田「ゆり祭りがあることを知らなくて。というのも、本島の人はあまり他の島には行かないので、私も伊江島には行ったことがなかったんです。沖縄出身なのに沖縄のこと知らなかったなと思い、少し反省しましたし。こんな素敵な景色が見られるところが沖縄にあったんだという発見がありました」
照屋「確かにテッポウユリは俺も知らなかったな。ゆり祭りは圧巻でした。作品では一部しか切り取ってないのですが、全面にゆりが広がっていて、あれはすごく綺麗で思い出がありますね」
松田「私たちは夜に撮影したので人もいなくて、シーンとしていて遠くから波の音だけが聞こえているのがすごく幻想的でした。あと、中身汁の炊き出しがありましたよね!」
照屋「俺が中身汁の炊き出しみんなに差し入れたんです」
松田「あれ、めちゃくちゃ嬉しかったです。炊き出しって嬉しくないですか。また中身汁というのも、最高すぎて...!」

(C)「かなさんどー」製作委員会
――歌のレッスンなどはいかがでしたか?
照屋「歌のレッスンといえば、やっぱり堀内敬子さんです。沖縄民謡の重鎮の古謝美佐子さんの厳しいレッスンにもめげずに最後まで練習をしていただけました。最後のクライマックスで素晴らしい歌を撮れたのも、古謝さんの教えと、その教えを学ぶことを諦めなかった堀内敬子さんのおかげです。ほんと助かりました。あれだけ歌がうまい堀内敬子さんでも、 沖縄民謡の歌い方は難しいと最後までおっしゃっていました」
――最後に作品の見どころや見ていただく方へのメッセージをお願いします
照屋「僕が好きなシーンの1つは、堀内敬子さんとるかちゃんが台所で争うシーンです。母親が娘に対して女の部分を話すことがショックでもあり、 悲しくもあり、でも愛に包まれているという...あのシーンの撮影は大変だったのですが、最後まで諦めなかったので、ほんとに美しくて良いシーンに仕上がったと思います。るかちゃんの大事なシーンは、1発でOKだったね」
松田「でもそれはちゃんと1発で撮れるような環境を作ってくださったからです。もう日も落ちていて、まだその次のシーンの撮影も残っていたのですが、『いいものが撮れるなら俺らはいくらでも待てるよ』と言ってくださって。ゴリさん以外のスタッフもみんな同じ気持ちでいてくださいました。浅野さん、堀内さんにもすごくのびのび演技をさせてもらえて、私にとって最高な現場でした。おかげさまで映画の現場が大好きになっちゃいました」
照屋「よかった!主演という部分で、色々抱えているものはあったと思うのですが、見事に乗り切っていただいたなと思います」
松田「見どころは、最後のシーンで全部が繋がる、というところです。たくさんの情報が最後に繋がっているので、ぜひエンドロールまで見ていただきたいです」

(C)「かなさんどー」製作委員会
文=HOMINIS編集部
映画情報
映画『かなさんどー』
2025 年1月 31 日(金)沖縄先行/2 月 21 日(金)全国公開
配給:パルコ
コピーライト:(C)「かなさんどー」製作委員会
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