美空ひばりが愛くるしい少女時代に出演した映画「ラッキー百万円娘」で見せた大スターの存在感
2025.1.29(水)

わずか9歳で芸能デビューして以来、長きにわたって昭和芸能史を彩ってきた美空ひばり。天性の美声から数々のヒットを飛ばした歌姫のイメージも強いが、銀幕デビューは1stシングル「河童ブギウギ」(1949年8月)の発売より5ヶ月前となる「のど自慢狂時代」(1949年3月公開)。以降、生涯にわたって165本の映画に出演した名女優でもあった。

(C)国際放映
そんな美空は1949年6月に早くも2作目の映画に出演する。それが「のど自慢狂時代」に続いて、喜劇映画の名監督・斎藤寅次郎がメガホンを取った爆笑コメディー「ラッキー百万円娘」だ。
物語は、街頭でピーナッツを売る大学生の栗山と貝塚がある日、トラックにはねとばされた少女・ひばりを助けるところから始まる。
病院で意識を取り戻したひばりに栗山が身寄りを尋ねると、すでに母親を亡くし、父親はまだ戦地から戻らず、親類縁者もいないという。
その境遇を見かねて2人がひばりの面倒をみることになるのだが、歌のうまさを見込まれて入った青空楽団ではもともといた歌手から横やりを入れられ、女中として2人の友人のところへ連れていかれれば奥方にやきもちを焼かれてクビになるなど、なかなか拠り所がみつからないでいた。

(C)国際放映
そんな時、かねてひばりが持っていた宝くじが当選。1等100万円を手にしたことから状況が一変するというのが本作のあらすじだ。
■演技に歌に、美空のギャップが全開

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今回美空が演じているのは同名のひばり。年齢は出演当時の12歳に設定されているところからも、美空をイメージして作られたキャラクターであることは想像に難くない。
ある意味で等身大の役柄ともいえるが、注目してほしいのが表現力だ。例えば、青空楽団の座長との歌の稽古で笑顔を振りまきながら歌唱するシーンでは、子供らしい楽しさや可愛らしさが見て取れる。一方、女中をクビにされるシーンでは、泣きながら悲しがる姿から努力をしても報われない悲しさがひしひしと伝わってくる。どちらも子供の純粋な気持ちを表現したシーンだが、喜怒哀楽のギャップを演じ分けた美空の演技力には驚かされる。
また、本作には時代を代表するコメディアンである古川ロッパやしゃべくり漫才を発明した横山エンタツなど錚々たる面々が名を連ねている。だが、そんな大スターたちの中にあっても美空が醸し出すオーラは飛び抜けている。この存在感は一朝一夕で会得できるものではなく、これも美空が生まれ持った才能といえるだろう。
文=安藤康之
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