映画「楽園」で魅せる杉咲花の「分からなくてもしょうがない」という現場に委ねる演技の破壊力!
2025.1.24(金)

ベストセラー作家、吉田修一の短編集「犯罪小説集」を瀬々敬久監督が映画化した「楽園」が日本映画専門チャンネルで2月17日(月)に放送される。青田に囲まれたさびれた集落のY字路で起きた少女失踪事件によって、村の人々が疑心暗鬼になり、同調圧力が人を追い込む理不尽さが痛烈に描かれている。

■どのような解釈もできる奥行きの深い演技!
本作で、12年前に失踪した少女・ 愛華とY字路で別れるまで一緒にいた紡を演じたのが杉咲花だ。紡は、小学生のときに自分だけが被害にあわなかったということにずっと負い目を感じながら大人になった女性。終始伏し目がちで、笑顔もない陰鬱とした雰囲気を纏っている。
杉咲と言えば、役を自身にしみこませるために、徹底的にキャラクターと向き合うという作品へのアプローチ方法を取材等で明かしていた。しっかりとキャラクターを理解し撮影に臨むように心がけていたというが、本作で演じた紡は、台本を読んで理解しているつもりでも、現場に入るとイメージしてきた感情が完全に崩壊してしまったという。
「紡という役は、『分からなくてもしょうがない』と潔く現場に身を委ねるしか方法がないと思えるぐらいの難役だった」。この言葉通り、劇中で杉咲が演じた紡の気持ちは、表面的には"罪悪感"苛まれているように感じられるが、それだけでは説明できないような佇まいも多々見られた。

例えば綾野剛演じる、どこに行っても自分の居場所がなく追い詰められていく青年・豪士と向き合っているときの紡の表情や心の動き。豪士の車に乗り二人で街に出かけるときの紡の心情は、疑心でもあり共感でもあり、信頼でもあり...とどんな解釈もできるくらいの揺れを感じさせ、ジリジリとしたドキュメンタリーを見ているような緊張感があった。
また紡に好意を持つ村上虹郎演じる野上広呂が東京にやってきたときの一連の対応も、どんな思いを抱いているのか簡単には推測できないほど、紡の表情には余白があり、視聴者に想像する余地を与えてくれている。
さらに柄本明演じる愛華の祖父・藤木五郎が「愛華だけ死んで、どうしてお前生きている?」と紡を理不尽に問い詰めたときの表情も、簡単に「こういう気持ちなんだろうな」と答えが出せないような複雑な心情を想像させている。
■杉咲花の演じていないような芝居

映画自体が、決定的な答えを提示しない作りになっているため、ややもすると難解な作品だと感じてしまうが、だからこそ俳優たちの演技が「どんな答えでも正解なんだ」と導いてくれることは作品にとって必要不可欠だ。その意味で、杉咲の演じていないような芝居は作品に奥行きをもたらしている。
2019年10月に劇場公開された本作。その後杉咲は、「市子」、「52ヘルツのクジラたち」、「朽ちないサクラ」など、映画作品に主演し難役に挑み、さらに俳優としての評価を上げている。映画だけではなく、「アンメット ある脳外科医の日記」、「海に眠るダイヤモンド」などの連続ドラマでも「どうしてこんなにもリアリティのある人物を演じられるんだ」と視聴者からもSNS等で驚きの声が多数あがるなど、「そこに居る」という説得力のある演技に脱帽している人が多かった。
杉咲はもちろん、綾野、佐藤浩市の怪演、柄本、片岡礼子らの生々しさなど、2時間10分のなかで繰り広げられる俳優たちのすごさが堪能できる作品だ。
文=磯部正和
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