小栗旬&岡田将生が宇宙飛行士を夢見る兄弟を熱演!映画「宇宙兄弟」で描かれる「夢を持つこと」が生み出すもの
2023.3.7(火)
小山宙哉の大ヒット漫画を実写化し、「聖の青春」などを手掛けたことで知られる森義隆監督がメガホンをとった映画「宇宙兄弟」。本作は一緒にUFOを目撃し、子供の頃から宇宙飛行士になることを夢見ていた南波兄弟の物語で、兄の六太(ムッタ)を小栗旬が、弟の日々人(ヒビト)を岡田将生が演じている。
先日、宇宙飛行士の選抜試験の合格者2名が報じられたニュースが記憶に新しい。本作にもムッタと共に、医療の知識を活かして宇宙飛行士を目指す女性・伊東せりか(麻生久美子)が登場していて、「夢を持つことは想像を超えるエネルギーを生み出す」ということをひしひしと感じさせられる、そんな作品になっている。
(C)2012「宇宙兄弟」製作委員会
超ポジティブな性格で兄より先に夢を叶えるヒビトと、優秀なのに今ひとつ自分に自信が持てずに夢を諦めかけていたムッタ。対照的な兄弟を演じた小栗と岡田は当時、2度目の共演で2人ともまだ20代。公私共に仲が良いという2人が兄弟役で見せた演技とは?
■宇宙兄弟の絆を小栗と岡田が対照的な演技で表現
(C)2012「宇宙兄弟」製作委員会
本作の根底に流れているのは、子供の頃に兄弟が交わした1つの約束。日本人初の月面飛行者となったヒビトと、コンセプトカーの設計会社に勤務しているムッタ。2人はいつしか違う人生を歩み始めていたが、弟のことを小馬鹿にした上司に頭突きを食らわせたことが原因で、ムッタは31歳にして会社をクビになってしまう。就職活動をするもののまったく上手くいかないムッタ。そんな中、ムッタのもとに届いたのは応募してもいない「JAXA(宇宙航空研究開発機構)」からの「書類選考に通った」という通知だった。
(C)2012「宇宙兄弟」製作委員会
もちろん、この身に覚えのない試験結果の犯人はヒビト。「忘れたのかよ。2006年7月9日のテープ聞いてみて」と言われ、UFO発見の日に2人で交わした約束のことを思い出したムッタの人生が、大きく動き出していく。まるで近所に呼び出すように「今からNASA来ない?」と兄をフロリダまで来させる大胆な性格のヒビトを岡田が天真爛漫な大らかさと明るさで演じる一方で、ヒビトが飼っている犬の名前が「アポ」なことや、部屋のカーテンの取り付け方が雑なことにツッコミを入れる兄・ムッタを小栗がコミカル且つシリアスな奥行きのある演技で見せた。
■小栗と伝説のバズ・オルドリンが絡む場面も
(C)2012「宇宙兄弟」製作委員会
本作にはアポロ11号で月面歩行を果たしたバズ・オルドリンや元・JAXA宇宙飛行士の野口聡一も出演している。ムッタはバズに誘われ、弟が搭乗している宇宙ロケットが発射する瞬間を目の当たりにして、感動のあまり口を開けて呆然。ロケットに向かって、無意識に「行け〜!」と絶叫してしまう。
(C)2012「宇宙兄弟」製作委員会
兄がいつか宇宙に来ることを信じて疑わない弟と、弟の思いと子供の頃の夢に背中を押されて試験に挑戦する兄。JAXAの子供見学ツアーに、台本を覚えてしまうほど参加していた少年時代のムッタとヒビトを知っている星加(堤真一)が、宇宙飛行士選抜試験官としてムッタを見守る役を演じているのも良い。
(C)2012「宇宙兄弟」製作委員会
「どんな状況でもよく寝て、よく食べ、平常心を保てるのが宇宙飛行士の最低条件」というセリフが出てくるが、宇宙で直面した危機に立ち向かう岡田の熱演と、弟の安否がわからないことを知らされながらも試験を投げ出さない小栗の冷静さを保つ佇まいが「宇宙兄弟ここにあり」と思わせてくれる、兄弟の絆を感じられる作品だ。
文=山本弘子
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