村上弘明×陣内孝則のバディ感溢れる刑事がハマリ役!鈴木保奈美がキーパーソンを演じた「松本清張サスペンス 犯罪の回送」
2024.12.19(木)

重厚な人間ドラマと驚きのトリックで、今なお読者を魅了し続けている小説家・松本清張。そんな松本が残した最後のミステリーを映像化したのが、2018年にテレビ東京で放送された「松本清張特別企画『犯罪の回送』」だ。
港湾拡張計画の認可を関係省庁に陳情するために、秘書の有島澄江(鈴木保奈美)や市議会議員らと上京していた北海道北浦市長・春田英雄(川野太郎)。しかし、公務出張中にもかかわらず行方がわからなくなったとして、捜索願いが出される。警視庁捜査一課の警部・田代俊一郎(村上弘明)がこの事件を担当することになる。同じ頃、港湾拡張計画に反対する革新派の北浦市議・早川準二(尾美としのり)も密かに上京していたことが判明。早川がこれまで政策を巡って春田と対立していたことから、春田の行方不明事件に関与しているのではと名前が挙がる。
田代は部下の警部補・岡本和也(平岡祐太)や巡査部長・奈津美(田中道子)らと捜査を続けるが、依然として早川の行方は掴めない。さらに、春田の秘書・有島も不可解な単独行動を続けており、田代は不審感を募らせていた。そんな中、東京・日野市の雑木林で、春田が絞殺体で見つかる。一方、春田の地元では、道警の警部・小森修司(陣内孝則)らも捜査を進めていた...。
北海道と東京、2つの土地にまたがる殺人事件を軸に、さまざまな思惑と愛憎が交錯する珠玉の社会派ミステリー。そんな本作の主演を務めたのは、数々の映画やドラマ、舞台で活躍している俳優・村上弘明。そして、物語の中盤から登場し、田代との名コンビぶりを披露する小森警部は、村上と2015年放送の開局50周年特別企画「黒い画集―草―」、2016年の松本清張特別企画「喪失の儀礼」、2017年の松本清張没後25年特別企画「誤差」で、共演を果たしている陣内孝則が演じている。
村上が演じている田代は、落ち着いた雰囲気と、どんな相手にも敬意を払う柔らかい口調が特徴のベテラン刑事。仕事後のリラックスタイムでもある入浴時にも事件のことを考えるほどの仕事熱心ぶりをみせるが、村上は持ち前の美声と穏やかな物腰によって、どこか都会的な空気を田代という役柄にまとわせている。
しかし、事件の主導権を北海道警が握りたがっていると上司から聞かされた瞬間から、田代は感情をむき出しにするように。それまでのポーカーフェイスから一変し、眉間にしわが寄り、口調もやや乱暴になる。この対照的な演技で村上は、田代が自分の仕事を横取りされることに対しての不満を抱えていることを表現し、その熱血刑事ぶりを視聴者に印象づけた。
その後、春田市長と対立関係にあったことから捜査線上にいた革新派の市議・早川の水死体があがった港で田代と出会うのが、陣内演じる北海道警の小森警部だ。自分たちのテリトリーによそ者が入ってきたことを警戒するような小森の挑戦的な態度に、当初は反発心を抱く田代。しかし、春田市長の妻・美知子(矢田亜希子)の聞き込みへの道中で小森の仕事熱心さに触れたことから、同じ方向を見ている仲間として小森に心を開いていく。陣内は、ひたすら実直で仕事熱心な小森をポーカーフェイスで演じることで、村上の演技を引き立たせている。
そして、本作のキーパーソンでもある秘書・有島を演じる鈴木保奈美の演技も見逃せない。1980年代後半から90年代後半にかけ、数々のドラマに主演し、一時代を築いた鈴木が、本作ではスターのオーラを完全封印。実直で控えめな秘書役を、感情を抑えた静かな声と上品な物腰で好演。かと思えば、ドラマ後半で感情を爆発させる場面での熱演は、観る者の心に強い印象を残すはずだ。
さまざまな愛憎が入り乱れる重厚な物語に、田代と小森のコミカルなシーンでひと息つく、という絶妙な演出が魅力の本作。エンドロールシーンでのバディ感溢れる村上&陣内の絡みまで、余すところなく堪能してほしい。
文=中村実香
放送情報【スカパー!】
松本清張サスペンス 犯罪の回送
放送日時:2024年12月21日(土)19:45~
チャンネル:チャンネル銀河 歴史ドラマ・サスペンス・日本のうた
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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