コン・ユの気負いのないラブシーンも抜群の説得力...40代ならではの自然体の色気が滲む「トランク」の心地良い没入感
2024.12.7(土)

今年7月に45歳を迎え、知的かつ大人の色気を漂わせた佇まいで魅了し続ける人気俳優コン・ユ。
アジアの人気スター俳優が集結したオムニバス映画「ワンダーランド: あなたに逢いたくて」や、12月26日(木)より配信開始となる「イカゲーム」のシーズン2など、世界配信されるNetflixの話題作に立て続けに出演しているコン・ユだが、11月29日より配信開始されたばかりのNetflixシリーズ「トランク」では、W主演のソ・ヒョンジンと演じた"奇妙な結婚生活"が話題に。笑顔を封印し、孤独な中年男性の葛藤を体現した深みのある演技が注目を集めている。

韓国の作家キム・リョリョンによる同名小説をドラマ化した「トランク」は、湖岸に打ち上げられた"トランク"によって明かされた謎の結婚仲介サービス"NM"と、そのサービスで1年間の契約結婚生活を送ることになった男女を静かなタッチで描いたミステリーロマンス。
「私たちのブルース」(2022年)や「大丈夫、愛だ」(2014年)のキム・ギュテ監督と、「花郎<ファラン>」(2016年)の脚本を手掛けたパク・ウニョンがタッグを組んだこともあり、配信前から期待が寄せられていた作品だ。

作品全体に流れる静寂は、主人公である"夫婦"のキャラクターによるものも大きいだろう。ヒョンジン演じるインジはNMの従業員で、コン・ユ演じる音楽プロデューサー・ジョンウォンの元妻の推薦によって彼と1年間の結婚生活を送ることになるのだが、2人とも心に喪失感や欠乏感を抱えている。


特に、ジョンウォンの虚無感を湛えた表情が印象的だ。痛ましい過去のせいで心に孤独と不安を抱え、睡眠薬に頼り、悪夢に苦しむ日々を送っている。元妻に「君が必要なんだ」とすがり、復縁の条件として提示された"インジとの1年間の契約結婚"にしぶしぶ同意して奇妙な結婚生活に足を踏み入れる。

この契約結婚を「ばかげている」と言い切っていたジョンウォンだが、妻との復縁のために必要なプロセスだと割り切り、手引きに従ってインジと形ばかりの"夫婦生活"を送り始める。法的義務のない結婚の誓いを交わし、1日の出来事を語り合ったり映画デートに行ったり、インジ曰く「地味だけれど夫婦生活で必ずしなければならない些細で重要なこと」を1つ1つこなしていく。


そのうち、ジョンウォンの心にある感情の変化が現れる。
形ばかりの会話を律儀に繰り返し、社交ダンスを教えたり、礼服のネクタイを結んでくれるインジに対し、妙な感情が芽生え始めるのだ。自分でもその正体が分からないまま、少しずつインジを求め始める。心は元妻を求めているはずなのに、突然の衝動に駆られてキスをしたり、好きになったと確信が持てないのに「あなたと寝たいみたいだ」と吐露したり...。契約にとらわれた結婚生活という"形"がジョンウォンの"心"を動かしていく。

配信開始直前に行われた制作発表会見で、「見る視点によっていろいろな解釈ができそうな作品」(コン・ユ)、「行間を読まなければいけないところが多く、余白も多い」(ソ・ヒョンジン)と語った文学的な空気が、静寂を形作っている。
心より先に体が動く...そんな大人の関係を表現した作品だけに、濃密なベッドシーンも重要なファクターに。「人物の感情をリアルに表現するため必要だった」とギュテ監督が会見で語ったベッドシーンは、さほど過激ではないからこそ"形が心を動かす"ロマンスに説得力を持たせている。

会見ではベッドシーンよりも、コン・ユの逞しい肉体が露わになったシャワーシーンの話題に注目が集まったが、撮影に間に合わせるため急ピッチで"肉体作り"を行ったことも明らかに。40代半ばという今のコン・ユだからこそ体現できる自然体の色気に浸りたい――そんな小説のような余韻に浸れる作品だ。

文=酒寄美智子
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