有村架純&坂口健太郎が醸し出すリアルな日常感...岡田惠和脚本で紡ぎ出される奇跡のような名シーン
2024.11.27(水)
過去に何度も共演を果たし、互いに「健ちゃん」「架純ちゃん」と呼び合うほど気心の知れた有村架純&坂口健太郎がW主演を務めたNetflixシリーズ「さよならのつづき」。
ヒューマンドラマの名手として知られる脚本家・岡田惠和の初のNetflix作品ということもあり、前々から期待が集まっていた本作だが、11月14日に配信されると、共に30代を迎えた有村&坂口の心揺さぶる演技に視線が集中。脚本段階から関わったという彼らのリアルな感情表現に各方面から共感の声が挙がっている。
ハワイと小樽の雄大な景色を背景に、運命に導かれるようにして出逢った男女の奇跡のような"結び付き"を紡ぎ出す本作。プロポーズされたその日に恋人・中町雄介(生田斗真)を事故で失ったヒロイン・菅原さえ子を有村が、その雄介の心臓を移植され命を繋いだ大学職員・成瀬和正を坂口が演じている。
北海道・小樽のコーヒー会社に勤務するさえ子は、雄介の死を懸命に受け止め、仕事に没頭しようとするが、その存在の大きさを思い知らされる日々を送っていた。一方、闘病中から支えてくれていた妻・ミキの実家で暮らす成瀬は、移植手術後、驚くほど元気になるが、自分ものではない記憶がフラッシュバックする現象を自覚し始めていた。
そんな中、さえ子と成瀬は偶然同じ列車に乗り合わせ、言葉を交わすようになる。さえ子は成瀬に雄介の面影を感じ、成瀬もまた、自分の"心"が「さえ子に会いたい」と願っていることを感じ始める。
有村といえば、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」(2017年)をはじめ近年の岡田惠和作品に欠かせない存在。そして「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」(2016年)で顔を合わせて以来、これが4度目の共演となる有村と坂口という安定感抜群のタッグで、完全オリジナルストーリーが展開する。
脚本開発にも、入念なリサーチとロケハンが重ねられた。岡田氏は有村と坂口の意見を取り入れながら脚本を執筆したという。"あて書き"であることは言うまでもなく、2人が何に疑問を持ち、どこが演じづらいと感じたかを聞き、それを積極的に反映していった。こうして、1年半もの時間をかけて脚本が完成した。
それだけに、作品に漂うさえ子と成瀬の空気感は驚くほどリアル。偶然にも通勤電車が同じだった2人は列車内で会話を重ね、距離を縮めていくのだが、「菅原さんは何でコーヒーの会社に勤めようと思ったんですか?」と成瀬が問えば、「長いですけどいいですか?」と返すさえ子に、間髪入れずに「はい。聞きたいです」と言葉を重ねる成瀬。やや硬い言葉遣いと打ち解けた空気感との絶妙なギャップが、"知り合って間もない成瀬の中に最愛の人・雄介の「心」が入っている"という特殊な関係性に説得力を与えている。
そんな会話を重ねるうちに2人は、そこに雄介の"心"があることをはっきりと自覚する。命を繋いでくれた雄介の思いを叶えてあげたいと成瀬が願えば願うほど、さえ子と成瀬の関係も深みを増していく。まるで、一息入れようと淹れたコーヒーの思いがけなく深い香りと味わいに吸い込まれるように...。さえ子と成瀬が作り出す感情のグラデーションも、みるみる濃くなっていく。
やがて、知らず知らずのうちに"雄介"の気配をまとっていく成瀬。そのキャラクターを作り上げるには、成瀬役の坂口はもちろん、雄介役の生田の好演も欠かせない。太陽のように明るく温かい雄介のキャラクターはもちろん、坂口と生田が1年かけて猛特訓し完全吹替えなしでそれぞれ挑んだピアノ演奏シーンも、"成瀬の中に雄介がいる"という特殊な状況にリアリティを持たせている。
成瀬と雄介が完全に同化する奇跡のような一瞬一瞬。そして、それを目の当たりにして揺れるさえ子。"愛"の力を思わずにいられない説得力を備えた名シーンがちりばめられていく。岡田脚本のもと、有村&坂口が作り上げた奇跡の物語、その結末までじっくり味わいたい。
文=酒寄美智子
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