北川景子&川口春奈の2大女優が魅せる心情のグラデーションから感じる"芝居の感覚"の鋭さに注目
2024.11.22(金)

近年では大河ドラマ「どうする家康」での好演や、主演を務めた「女神の教室~リーガル青春白書~」などが記憶に新しい北川景子。今年1月に第二子を出産したばかりだが、2019年に第一子を出産した時には、産後2カ月という超ハイスピードで復帰を果たすなど、女優としてオファーが途絶えない人気役者だ。
一方、ドラマ「silent」(2023年、フジテレビ系)やドラマ「9ボーダー」(2024年、TBS系)など主演作が次々に話題となっている川口春奈。近年は主演として作品の看板を背負う存在として引く手あまただ。そんな2人が共演した貴重な作品が2015年のドラマ「探偵の探偵」だ。

(C)松岡圭祐/講談社 (C)フジテレビジョン
同ドラマは松岡圭祐の同名小説シリーズをドラマ化したもので、探偵を探偵する「対探偵課」の調査員の活躍を描いたもの。最愛の妹・紗崎咲良(芳根京子)をストーカー・岡尾芯也(岡田義徳)によって殺された過去を持つ紗崎玲奈(北川)は、岡尾に咲良の居場所を教えた悪徳探偵"死神"に復讐するため、探偵を探偵する「対探偵課」の探偵としてスマ・リサーチ社で働き始める。そんな中、中途で入社してきた峰森琴葉(川口)が玲奈の助手を務めることになる。しかし、悪徳探偵の悪行を暴き、時に命の危険もある過酷な仕事を1人でこなす玲奈の仕事ぶりに、琴葉は絶句。すぐに辞めようとするが、次の勤務先が決まるまで働くことに...。
■グラデーションのある演技で物語に濃淡を与える北川と川口

(C)松岡圭祐/講談社 (C)フジテレビジョン
物語は、2人がさまざまな依頼や事件に向き合う姿を描きながら、縦軸として玲奈の"死神"への復讐を描き、クライマックスに向けて全体に散りばめられたヒントが収束していくという構成で、全3章から成るストーリーを追うだけでも十分に楽しめるのだが、やはりすごいのは2人の演技だ。

(C)松岡圭祐/講談社 (C)フジテレビジョン
北川は同ドラマで初の探偵役をこなし、本格アクションにもチャレンジ。素手での殴り合いから、ナイフを持った相手との格闘シーンまで、温いものではなく「スタントマンが代わりに演じているのでは?」と疑ってしまうほどの激しいアクションを見せている。殴られたり、蹴られたり、髪を掴まれて床に顔面を打ち付けられたりというシーンはもちろん、水没させられたり、両手両足を拘束されたりと、「事務所がよくOK出したな...」と感心してしまうほど予想を超えたハードなシーンにも挑み、体を張っている。
そして、フィジカルだけでなくメンタル的にも過酷な役で、同業者や同僚からも煙たがられ、常に気を張り詰めて独りで仕事をこなす玲奈を、"復讐に囚われた鬼"のように熱演。最初は、他のことは全て投げうって"死神"に復讐することだけを目的に生きているという、切れ味の鋭いナイフのような人物として作り上げているのだが、琴葉と関わることで切れ味の鋭さが鈍くなっていく。つまり「人間性を取り戻していく」のだが、その変化の表現が素晴らしい。

(C)松岡圭祐/講談社 (C)フジテレビジョン
一方の川口は、姉の結婚を機に独り立ちすることになり、たまたま「スマ・リサーチ社」に入社した"探偵のことは右も左も分からない素人女性"としての役どころを好演。新人ゆえについ探偵のタブーを犯してしまったり、玲奈の足を引っ張って迷惑をかけてしまったりと、過酷な業務を独りで切り盛りしている玲奈とは対照的な存在として描き出されており、キャラクターとしても作品に濃淡を付与。だが、玲奈との意外な繋がりや玲奈が探偵を続ける理由などを知っていくにつれて、"素人女性"から"探偵"へと成長していく精神的な自立をこちらもグラデーションで表現。全11話を通して、琴葉の成長という視点でも存分に楽しめるほどだ。
そんな2人が紡ぐそれぞれの心情のグラデーションの中でも、第1話~第4話の前半までの「第一章」から、1年が経過した第4話の後半からの「第二章」の変化に注目してほしい。ある大きな事件をきっかけに心が折れそうになってしまった玲奈を、一段階成長して強くなった琴葉が励まして再起を促すのだが、互いの呼び名が「紗崎先輩」から「玲奈さん」、「あなた」から「琴葉」に変化するのに伴い、2人の距離感も縮まっているのだ。大きな変化が明確にあるわけではないのだが、呼び名を始めとした言葉や行動の端々にそれが垣間見え、役の心をしっかりととらえて演じていることが分かる。全く違うベクトルのキャラクターを演じながら、互いにしっかりと同じだけ距離を縮めている2人の"芝居の感覚"の鋭さが感じられるのだ。
"死神"の正体や玲奈の復讐の結末、驚きのラストなど、見どころ満載のストーリーを楽しみつつ、人気女優2人が紡ぐ心情のグラデーションから見る"芝居の感覚"の鋭さを感じてみてほしい。
文=原田健
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