南野陽子が女優の新たなステージに踏み出した気概と、それに応えた西田敏行の名演技に注目の映画「寒椿」
2024.11.19(火)
10月に急逝した名優・西田敏行。西田といえば、シリアスからコメディーまで、作品問わず役ごとに存在感を放つ稀有な役者で、彼を尊敬してやまない同業者も多かった。代表作も多く、その活躍は「第12回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞」「第17回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞」といった映画賞の受賞だけに止まらず、2008年に紫綬褒章、2018年に旭日小綬章を受章し、エンタメ界のみならず日本文化の発展に貢献した偉大なる人物だ。
(C)東映
彼の魅力といえば圧倒的な演技力に他ならないが、コミカルな役で観客をとことん笑わせたかと思えば、人情物では思いっ切り泣かせ、ヤクザ映画では震えあがってしまうほどの恐怖を植え付け、そして二枚目の役ではカッコいい大人の男性として魅了してくれ、"変幻自在"という言葉がぴったりとはまる役者だ。そんな中で、大人なカッコよさを存分に味わわせてくれる作品の一つが映画「寒椿」(1992年)だろう。
同作品は、宮尾登美子の同名小説を降旗康男監督が映画化したもので、昭和初期の高知の色街を舞台に、男女が織り成す恋愛模様を格調高く描いた文芸ロマン。かつて任侠の世界にいたが、今は芸妓を店にあっせんする仕事をしている岩伍(西田)の元に、かつて彼の息子・健太郎(西野浩史)が家出をした際に世話になった、貞子(南野陽子)という美しい娘が身売りされてくる。貞子は岩伍の口利きで、源氏名「牡丹」として妓楼・陽暉楼の座敷に出るようになり、たちまち店で一番の売れっ子となる。やがて侠客や財閥の御曹司などの男性たちから貞子は惚れられるようになるが、実は貞子が心から慕っているのは岩伍だけだった、というストーリー。
タイトル「寒椿」のとおり、 "咲いたと思ったら落ちる花"のような貞子の半生を描いており、男たちの欲望に振り回された可憐で美しい女性の悲しい物語なのだが、貞子役の南野陽子は初の濡れ場に挑戦するなど、体当たりの演技を披露しつつも、男たちの欲望を当てられて心が荒んでいく中でも可憐さと儚さを損なわない見せ方で貞子を熱演。それが貞子の岩伍へのピュアな思いともリンクして、「叶わない思いを諦めなければならない。でも、忘れることはできない」という切ない恋心を鮮明にしており、観る者は貞子の悲恋に涙を誘われてしまう。
(C)東映
そんな貞子を主演の西田が引き立て、作品を悲恋だけではない分厚い人間ドラマとして昇華させている。西田演じる岩伍は、かつて任侠の世界にいたが大恋愛の末、きっぱりと足を洗ったという過去があり、物語はその愛する妻・喜和(藤真利子)が岩伍の女衒の仕事に馴染めず一人息子の健太郎を連れて家を出ており、岩伍が健太郎を連れ戻すところから始まるのだが、最初は父を嫌って反発して家出していた健太郎が、いつしか尊敬して慕うほどにカッコいい。
というのも、岩伍は他の女衒とは違って金銭ではなく芸妓のことを考えて動く男で、周りの人々からも信頼が厚く、いざとなればトラブルバスターとして頼られる人物。頭が切れて度胸もあり、トラブルも双方の角が立たないようにうまく解決するという万能さで、事を荒立てないためには自らの身を呈することもいとわない男らしさがあり、いざという時には腕っぷしも強い。
(C)東映
そんな二枚目過ぎる岩伍を、西田はどこか陰のある男として演じており、背中で語る哀愁や葛藤、貞子の思いを受け止めてやれない忸怩たる思いなどを、表情や雰囲気で醸し出しており、ハードボイルドさまで纏わせている。最近だとモデルやアイドル出身の役者が演じるような役どころながら、西田はその演技力を駆使して、男女関係なく内面から惚れてしまう"いい男"として岩伍を表現することで、南野が表す貞子の岩伍への思いに説得力を与えているのだ。
女優の新しいステージに踏み出した南野の気概と、それに応えるかたちで支えた西田の名演技に注目していただきたい。
文=原田健
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