佐野史郎の怪演がマザコン男・冬彦さんを社会現象にまで押し上げた!賀来千香子の震える演技や野際陽子の異常愛の姑役も目を引く名作「ずっとあなたが好きだった」
2024.10.27(日)
1992年のドラマ「ずっとあなたが好きだった」が11月4日(月)に日本映画専門チャンネルで放送される。本作は、70年近いTBSのドラマ史でも異質の輝きを放つ大ヒット作だ。物語は、賀来千香子演じる新妻が、布施博演じる初恋の男性に再会したことから、佐野史郎演じるマザコンでストーカー気質の夫による異常愛に苦しめられるラブストーリーだ。だが、物語以上に本作を異質たらしめているのは、キャストのクレジット順では4番手である佐野史郎の意表を突く演技が回を追うごとに話題になり、その役名「冬彦さん」が社会現象にまでなったことにある。
東京でホテル内結婚式場に勤める西田美和(賀来)は、見合い相手の桂田冬彦(佐野)と結婚。だが同時期に、郷里の仙台で高校時代に恋仲だった大岩洋介(布施)と再会。冬彦との結婚生活がうまくいっていなかったこともあり、2人の間で心が揺れていく。
賀来千香子は、雑誌モデル出身らしい長身の美スタイルが活きるふんわりロングスカートで、受け身の行動が多くためらいがちなヒロイン・美和を熱演。夫の奇行がエスカレートするにつれ、華やかで美しい彼女の顔がどんどんゆがんでいく、そのゆがみこそが本作の見どころの一つとなっている。唯一無二とも言える特徴的な彼女の声が「冬彦さん...」と震えるとき、ホラー映画における「絶叫クイーン」的な効果が芽生えるのだ。
相手役の布施博は、出世作のトレンディドラマ「君が嘘をついた」(1988年)から続くイメージそのままに、体育会系で無骨だが実直な男を好演。こちらも会社の同僚・律子(宮崎ますみ=現・宮崎萬純)との間で揺れ動き、律子は主役2人の恋の障害となる。
そんなさわやかカップルが「世間を敵に回す不倫モノ」と見られないよう、いわば確固たる悪役キャラとして創出されたのが、佐野史郎演じる「冬彦さん」の存在だ。冬彦は東大卒のエリート銀行員で、結婚前は優しいそぶりを見せていたが、結婚後に豹変。その実態は、母・悦子(野際陽子)の支配下に置かれる極度のマザコンで、美和の自由を全く尊重しない束縛系モラハラ男、さらに夜の生活にも難アリ、の不良債権だったのだ。
このとがりきったキャラ・冬彦を、唐十郎が率いた状況劇場出身の名優・佐野が水を得た魚のごとく文字通りの「怪演」で魅せる。美和との関係がうまくいかないと、冬彦は木馬にまたがり無表情でユラユラと揺れたり、美和の気持ちが洋介にあることを察した際には、唇をかみしめながら「ウーウー!」と駄々っ子のように唸ったりなど、「次にどんなことをしてくるのか全く読めない」人物がそこに、息づいているのだ。
その恐ろしさに拍車をかけるのが、当時56歳の野際陽子が演じる母・悦子との艶めかしい親子関係。夫亡き後、悦子は冬彦だけを見つめ続け、一種の共依存の関係に陥っている。第1話、ケガをして血を流した冬彦の指を悦子が急いでなめると、続いて冬彦が自らもなめる場面には、全視聴者が凍りついたものだった。
密すぎる親子描写は、佐野と野際が演技のキャッチボールを重ねた賜物とのことだが、その甲斐あって「冬彦さん」は視聴者の目を釘付けにし、当初の予定よりセリフや場面が大幅に増え大役に成長。マザコン男性を指す代名詞と化し、年末には流行語大賞の金賞にも選出、時代を象徴する役となった。
佐野は本作でアングラ俳優から一気にメジャーな存在に。野際は続く「ダブル・キッチン」(1993年)でも佐野と共演し、アクの強い姑役が当たり役となる。さらに1993年の続編的ドラマ「誰にも言えない」では賀来、佐野、野際が再び顔をそろえ、今度は賀来と佐野は元恋人同士、佐野の義母が野際という、役柄を変えた形で変奏曲を織り成していく。それら一大ブームの源が、佐野の度を越した演技力に端を発していたという点では、異常な愛を扱った内容とは裏腹に、ものづくりの現場として実に健全で幸福な環境だったと言えるのかもしれない。
文=magbug
放送情報【スカパー!】
ずっとあなたが好きだった#1-6
放送日時: 11月4日(月)19:30~
チャンネル: 日本映画専門チャンネル
※11月4日(月)に#1-6、5日(火)19:30に#7-13を放送
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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