市川海老蔵が時代劇映画初出演で魅せる、静の目線と動の大立ち回り!
2024.10.2(水)
1958年に発表された溝口康彦の時代小説「異聞浪人記」を1962年に仲代達矢主演で映画化した「切腹」。それから約50年の時を経て、鬼才・三池崇史監督が歌舞伎俳優・市川海老蔵(現・十三代目 市川團十郎 白猿)と瑛太(現・永山瑛太)を主演に迎えて再映画化した「一命」がWOWOWにて放送される。
■目線一つで物語を動かす市川海老蔵の芝居
歌舞伎俳優として活躍している海老蔵だが、時代劇映画に出演するのは本作が初。演じるのは、安芸広島福島家元家臣・津雲半四郎。浪人となった半四郎は、彦根藩・井伊家の江戸屋敷に訪れ家老・斉藤勘解由(役所広司)の前で「切腹をしたい」と申し出る。
当時江戸では、大名の御家取り潰しが相次ぎ、困窮した浪人たちが溢れていた。そんななか、ゆとりのある大名屋敷に訪れ、切腹を申し出ることで、面倒を嫌う屋敷側から金銭をもらったり、家来として召し抱えてもらうという「狂言切腹」が横行していた。
当然、勘解由ら井伊家の人間は、半四郎の申し出も「狂言切腹」と決めつけ、以前同じように切腹を願い出た千々岩求女(瑛太)を追い込み、本当に切腹させてしまったことを告げる。しかし半四郎の目的は狂言切腹ではなく、親族であった求女の仇をとるために井伊家に乗り込んできた男だったのだ。
物語前半は、なぜ半四郎が井伊家の屋敷に訪れたのか...というミステリアスな展開。演じる海老蔵も、庭に敷かれた畳の上に正座し、"静"を装いながらも不気味さを演出する。座敷で対峙するのは勘解由役の役所。名門の家老と浪人という完全に立場が違うなか、思惑をつかめない勘解由は、半四郎に主導権を奪われてしまう。
立場の違いからか、勘解由とずっと目を合わせない半四郎。そんななか、求女の仇のためにやってきたことを匂わせたとき、グイっと勘解由を見つめる目線は圧巻だ。
まさに歌舞伎俳優らしい海老蔵の目力により、勘解由は慌て激高。家臣たちも一気に刀に手をかける。目線一つで"静"から"動"へと物語が動く演出がここまでハマるのは、海老蔵だからこそと思わせてくれる。
■役所広司の多彩さを実感
回想シーンでは、半四郎と求女の関係性が描かれる。半四郎の娘・美穂を演じるのは満島ひかり。貧しいながらも武士の誇りのもと懸命に生きる半四郎、求女、そんな彼らに寄り添う美穂。多くを望まない。ただ笑顔で生きていければそれだけでいい――。そんな思いのなか、悲劇が起こってしまう。
後半、半四郎の目的が明らかになると「武士の面目」がキーワードに。「面目がなければならん」と断言する勘解由。しかし武士の誇りを持ちながら真面目に生きてきたものの、そんなものでは家族をも守ることができないと悟った半四郎は、武士の面目を「じつにくだらん」と一蹴。
そこからは大立ち回りが繰り広げられる。時代劇映画初とはいえ、歌舞伎俳優として数々の作品で殺陣を行ってきた海老蔵にとってはお手のもの。しかも、彼が持っている刀は...。それでも次々と敵を倒していく姿には大きなカタルシスが得られる。
映画公開時、海老蔵は34歳、役所は55歳という年齢差だったが、海老蔵のどっしりと構えた"静"の演技に、重厚さでは対抗しない形で物語を彩る役所の多彩ぶりにも注目だ。また、求女がやっとの思いで得た卵を落としてしまうシーン、美穂がラストでお菓子を食べるシーンを含め、二人の若手(当時)俳優たちの演技も必見だ。
文=磯部正和
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