美空ひばりが桃太郎に!?「歌謡界の女王」が性別を超えた存在感とオーラを発揮した作品「宝島遠征」
2024.9.19(木)

「歌謡界の女王」として認知されている美空ひばり。その歌声は多くの人を癒やし、勇気づけ、元気にした唯一無二の歌い手だ。だが、映画、舞台などでも目覚ましい活躍をし、ジャンルを超えた"美空ひばり"という特別な存在として、日本のエンタメの中心を担っていた。

⒞東映
1949年3月に映画「のど自慢狂時代」で映画デビューを果たし、同年10月の初主演映画「悲しき口笛」が大ヒットしたことで国民的な認知度を得たひばりは、その後、年に10本前後の映画に出演し続け、1954年から1963年までの10年間は多くの時代劇、チャンバラ映画に主演して東映時代劇の黄金期を支え、歌手であると同時に銀幕スターとしての人気を得た。題名に「ひばりの―」と付けば必ずヒットし、「ひばりの○○」という作品は47本で日本一。戦後を代表する映画俳優として大衆を楽しませ続けた。
そんな黄金期の作品の一つが映画「宝島遠征」(1956年)だ。同作品は、おとぎ話「桃太郎」をオペレッタ化した本格ミュージカルコメディーで、ひばり演じる桃太郎が鬼ヶ島に遠征する話に、鬼の姫の恋がからむほか、ロケット砲やヘリコプター、ダイナマイトといった近代兵器が登場するなど破天荒な展開が特徴。

⒞東映
昔々あるところに桃の木村という平和で美しい村があった。だが、この村には老人と女性ばかりで、鬼ヶ島からやってくる鬼たちに度々略奪を受けて困っていた。そんな中、村から少し離れた水車小屋におじいさんとおばあさんが住んでおり、ある日おばあさんが川へ洗濯に出かけると大きな桃の実が流れてくる。持ち帰ったおばあさんがおじいさんと一緒に食べようとすると、中から赤ん坊が出てくる。その子はやがて桃太郎という名の立派な青年に育ち、村の娘たちのあこがれの的となる。そんな桃太郎の姿を、鬼ヶ島の宮殿から水晶を通して大王の息女が見つめていた。
誰もが知っているストーリーながら、鬼の姫の恋などオリジナル要素も満載で約90分があっという間なのだが、中でもひばりの存在感が圧巻。歌のシーンでは格別な歌声が作品に美しい彩りを与えているし、演技においても心優しく勇気あふれる主人公を好演。女性でありながら美青年として劇中を生きている。

⒞東映
それを可能にしているのは、彼女の持つ超越した存在感に他ならない。低いトーンの声、ハキハキとした口調、キビキビした身のこなし、背筋が伸びて堂々とした立ち居振る舞い、華麗なアクションなど、芝居の細かい部分も少なからず寄与しているのだが、登場しただけで色づいて見えるオーラが、「桃太郎」らしさを具現化させている。
榎本健一や岸井明、川田晴久、堺俊二など豪華な喜劇役者も出演しているのだが、画面の中に立っているだけでひばりは誰よりも輝いている。「この存在感が出るのは、今の演劇界で何人いるだろう」とふと考えてしまうほどだ。白黒映画だからと"食わず嫌い"することなかれ。白黒だからこそ明瞭に感じられるひばりのオーラが形成する存在感をぜひ感じてみてほしい。
文=原田健
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