明石家さんまと広末涼子が演じる親子の距離感がもどかしい、ドラマ「世界で一番パパが好き」
2024.9.16(月)
コロナ禍を経た2024年現在、ドラマ業界は正に配信時代といっても過言ではない。莫大な製作費によって作られるオリジナルドラマは配信開始のその日から国内の話題をかっさらう。
それでもテレビドラマは作られ続け、テレビの視聴率が落ちているといえども視聴者が消えることはなくお茶の間には欠かせないものとして長年存在する。今回はそんなテレビドラマから10月10日(木)・11(金)に日本映画専門チャンネルで放送される「世界で一番パパが好き」を紹介しよう。
■「親子」をテーマにしたヒューマンドラマ
「世界で一番パパが好き」は1998年7月8日から9月23日までフジテレビ系にて毎週水曜日に放送された連続テレビドラマで全12話構成の作品だ。
主人公は弁護士の岡田善三(おかだぜんぞう)で明石家さんまが演じる。善三は根岸法律事務所に所属しており、この事務所では主に家庭裁判所で決着がつくような民事事件を扱う。善三はとにかくよく喋り他の弁護士仲間やクライアントを置いてきぼりにしてしまうこともあるくらいで、その役柄がさんまにピッタリだ。
ある日、善三は13年前に離婚した妻が危篤であるとの連絡を受け病院に駆けつけるも、前妻は亡くなり、そこで前妻との間に生まれた娘と再会する。その娘、仲町たみを広末涼子が演じる。たみは母から「父の浮気が原因で離婚した」と聞かされており、父を恨んで育っていた。しかし、たみは翌年に大学受験を控えており予備校と一人暮らしの生活を両立するのは難しい。たみは葛藤しながらも父の職場兼自宅を訪ねる。13年ぶりに親子の会話をしようとする2人であったが...
■「親子」の酸いも甘いも表現する役者 明石家さんまと広末涼子
このドラマは「親子」をテーマとしており、離婚、死別、受験といった子供と親、両者の立場にとって重い話題を扱っている。だが、ドラマを観てみると重苦しい雰囲気というよりはすれ違う親子をもどかしさと共に、にこやかに眺めている気分になる。これはひとえにさんまと広末の芝居が生み出す空気感によるものだろう。さんまは多くの人がコメディアンとしてのイメージを持っていると思うが、善三という役柄においては口のうまさと「父として」の口下手さが共存している。このギャップが可愛らしい。また、広末もとにかく素直で元気溢れる少女なのだが「娘として」父に接する時は果てしなく不器用なのだ。
つまり、この親子は似た者同士なのである。優しくて不器用なのだ。時に不器用さが、思ってもいない言葉として親子の間でぶつかる時もあるが、2人はそれを乗り越えていく。さらにコミュニケーションだけがこの作品のテーマではない。例えば、善三もたみも朝が弱く2人が寝ぼけて朝食のテーブルにつくシーンがある。このシーンでは広末が明石家の動きを模倣しているのかなという印象を受けたが違和感があるわけではなく、2人の自然な演技が13年離れていても親子なのだなという説得力を宿していた。
この作品は基本的に1話完結型のエピソードなので1話を観て人物と関係性を把握すれば、好きな話数を鑑賞しても話についていけるが、回を経るごとに近づいていく絶妙な距離感を表現した明石家と広末の演技にも注目して観てもらいたいたい。
文=田中諒
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