満島ひかりの「秘め」の演技が際立つ!見るたびに発見のある映画「ラストマイル」
2024.9.13(金)

満島ひかりが主演を務め、TBS系ドラマ「アンナチュラル」、「MIU404」の世界線がクロスする「シェアード・ユニバース・ムービー」であることでも話題となっている映画『ラストマイル』。公開から3週連続で観客動員数1位を獲得しており、その動員数は累計213万人、興行収入は30億円を突破した。人気ドラマの世界線や豪華キャストで話題を呼んでいた本作だが、主演を務める満島ひかりの高い演技力が観客を魅了し、大ヒットを支えている。
舞台は、世界規模のECサービス企業が保有する巨大物流倉庫の関東センター。そこから出荷され届けられた荷物が、相次いで爆発するという事件が発生することから物語は始まる。
ECサイトで何でも安く・早く手に入るようになった現代においてその利用シーンはさまざまで、爆弾入りの荷物が個人の家、オフィス、家族連れの集まる商業施設などを襲い、負傷者も多く発生する重大な連続爆破事件へと発展していく。
事件は流通業界最大のイベントのひとつである"ブラックフライデー"の前夜から発生するが、そんなブラックフライデーの初日から関東センターのセンター長として赴任した舟渡エレナを演じるのが、満島ひかりである。岡田将生演じるチームマネージャーの梨本孔とともに、事件の収集に奔走してゆく。

(C)2024 映画『ラストマイル』製作委員会
エレナは、会社の掲げる理念の1つである"Customer Centric (すべてはお客様のために)"を唱え、事件が起きた当初も荷物を止めない姿勢を取る。
日本の「血管」とも例えられる物流。少しでもその動きを止めれば会社にとっても大損害になってしまう。警察の働きかけに対しても強気でいたり、荷物の安全確認が必要になった際も、運送会社に対して少々強引にその対応を依頼したりと、"仕事には熱いが、それゆえの冷徹さも合わせ持った人物"というような第一印象を受ける。

(C)2024 映画『ラストマイル』製作委員会
だが物語が進むにつれて、会社の理念を皮肉るような一面や、意味深な表情や仕草も時折見せ、観客はエレナがどんな人物なのか徐々にわからなくなってくる。
掴めそうで掴めない人物像を表現する満島の演技によって、先の読めないストーリー展開がより深みを増して紡がれ、私たちは映画にぐっとのめり込んでいく。
思えば、2017年に放送された「カルテット」(TBS系)で満島が演じていた世吹すずめも、天才肌でありながらもズボラでマイペース、親しみやすいキャラクターかと思わせつつ、その正体や過去、さまざまな感情を秘めるような一面もあった。もっとも「カルテット」では主要な登場人物はみな何かしらの思惑を秘めていたが、すずめというキャラクターが特に裏表のなさそうな役どころだっただけに、視聴者は隠された一面に翻弄され、彼女に惹かれていったのだ。
このように満島が演じるキャラクターに、ある種翻弄されるような感覚を「ラストマイル」でも体感することとなるし、関東の流通を担うセンター長という"組織を背負った人間である"ということも、満島の「秘め」の演技に重厚さを加えている。

(C)2024 映画『ラストマイル』製作委員会
「ラストマイル」は運送業をテーマとしてはいるものの、日本における労働全般に対して、決して「こうするべき」「これはよくない」と教科書的に示すのではなく、ドキュメンタリーとも言えるほどただひたすらにリアルを描くことによる問題提起がなされている。「アンナチュラル」や「MIU404」も然りだが、塚原あゆ子監督・野木亜紀子脚本タッグで制作される作品の素晴らしさは、ただ物語の起承転結や事件のトリックを聞くだけでは得ることのできない、この社会に対する"捉え直し"の感覚のようなものを味わえるところにあると思う。
だからこそ、「ラストマイル」のストーリーの全貌や、エレナが一体どのような人物であったかについては、是非映画館で見届けていただきたい。そして一度鑑賞してストーリーを把握した上で、二度目、三度目と複数回見ることをおすすめする。ストーリーを理解した後だからこそ気付くことのできる満島の演技の繊細さに、改めて驚くことになるだろう。
文=HOMINIS編集部
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