時代劇スター・マツケンこと松平健の代表作「暴れん坊将軍」第1シリーズは北島三郎、夏樹陽子、宮内洋らキャスト陣の秀逸演技も必見
2024.8.18(日)

1978年にスタートし、2002年まで四半世紀にわたって放送された「暴れん坊将軍」は、全12シリーズを数え、さらにスペシャル版も作られた。テレビ朝日系の看板時代劇というよりも、国民的な人気コンテンツといえるほど親しまれてきた。本作で徳川吉宗を演じた松平健は、放送開始当時はまだ無名の存在で新人俳優という立場だったが「新鮮な人材を登用したい」という制作側の以降で主役に抜擢された。
記念すべき第1シリーズ「吉宗評判記 暴れん坊将軍」が8月26日(金)に時代劇専門チャンネルで放送される。同タイトルで1978年1月にスタートし、将軍・徳川吉宗が町火消に居候する旗本の三男坊・徳田新之助(新さん)に姿を変え、町民と交流しながら世にはびこる悪を斬る勧善懲悪時代劇という基本設定は既に確立されていた。
高貴な身分の主人公がその正体を隠し、市井に紛れて悪を退治するというパターンは、「水戸黄門」や「遠山の金さん」などの前例はあった。だが、教科書にも載っている日本史の重要人物である吉宗が、民間人にふんして市中を徘徊し、大立ち回りを演じる設定は、さすがに荒唐無稽過ぎるという意見も多かったようだ。しかしふたを開けてみれば、第一シリーズは視聴率15%を超える人気番組となった。
大胆な設定に加えて、オープニングテーマをはじめ音楽の素晴らしさ、単純明快で痛快極まるストーリー構成など、ヒットの要因は多々あるが、やはり本作の人気を不動のものとしたのは、松平健をはじめとするキャストが充実していたことが要因だろう。
第1シリーズを改めて見ると、当時の松平健の美しさ、凛々しさに驚かされる。「新さん」の場面で見せる軽妙さと対をなす、吉宗の威厳と強さも際立つ。クライマックスでの殺陣の場面も見せどころ。動きも太刀さばきもほれぼれするほど絵になっており、まさに時代劇役者になるために生まれてきたような男という印象である。

共演陣も素晴らしい。御側御用取次役として教育係を務めた「爺」こと加納五郎左衛門を演じた有島一郎は、昭和の喜劇役者の代表格。間と表情の技巧が絶妙で、味わい深い演技を見せてくれる。吉宗の右腕である南町奉行・大岡忠相を演じたのは横内正。「水戸黄門」の格さん役の後に本作で忠相役を19年の長きにわたって演じた。人格者で吉宗からの信頼が厚い忠相を重厚な演技で表現。艶のある声がよく通り、横内もまた本作の人気を支えた功労者と言える。
さらに御庭番衆と呼ばれる忍者軍団も重要な存在で、市井を徘徊する吉宗の警護、悪事の証拠をつかむための諜報活動や悪人の成敗も担当した。特に初期のリーダーを務めた薮田助八(宮内洋)は、「仮面ライダーV3」などの特撮作品で人気を博して本作に出演。松平健に負けないほどのカッコよさで活躍し、本作以降は時代劇作品の出演も増えた。同じく御庭番のおその(夏樹陽子)も男勝りで奮闘するが、日舞や能楽の経験者でもある夏樹のポテンシャルが時代劇において発揮されていたという印象だ。
また、本作の設定の特徴である「め組」の場面に登場する町人衆の魅力も忘れてはいけない。中でも頭の辰五郎を演じる北島三郎が素晴らしい。辰五郎役は北島を想定して書いたと思われるほど、すべてのセリフと立ち回りが見事にはまっている。歌手の仕事が最優先で、ドラマ出演は限られていたこともあり、北島の演技が堪能できることでも本作の価値がある。
25年間も続いた超人気作品の原点らしく、今見てもまったく色あせない「吉宗評判記 暴れん坊将軍」。各シリーズの再放送の機会は多いが、ロングラン作品の礎となった第1シリーズが見られるのは貴重な機会だ。芸能生活50周年を迎えた人気スター・松平健のルーツでもあり、「余の顔を見忘れたか!?」「成敗!」といった決めせりふも改めて堪能したい。
文=渡辺敏樹
放送情報【スカパー!】
吉宗評判記 暴れん坊将軍
放送日時: 8月26日(金)18:00~
チャンネル: 時代劇専門チャンネル
※毎週(月)~(金)18:00放送
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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