山口智子の芯のある人物像が魅力的!三谷幸喜らしさが詰まった色褪せない名作ドラマ「王様のレストラン」
2024.8.16(金)

かつて主宰していた"原点"とも言える劇団・東京サンシャインボーイズの約30年ぶりの復活宣言も話題を集めるなど、演出家、脚本家、監督として舞台・ドラマ・映画で数々のヒット作を生み出してきた三谷幸喜。9月13日(金)からは喜劇の名手5年ぶりとなる映画最新作「スオミの話をしよう」の公開を控え、その内容も三谷の得意とするミステリー・コメディということで期待が高まっている。
スオミの失踪を機に、現夫である大富豪の豪邸に5人の男たちが集まり、スオミの知られざる一面を語り合っていくという「スオミの話をしよう」。一つの部屋など基本的にワンシチュエーションで物語を展開させていく"シットコム"もまた三谷の脚本家としての腕前が発揮される十八番だ。そのうちの代表作とも呼べる「王様のレストラン」が9月7日(土)に日本映画専門チャンネルにて全話一挙放送される。

(C)共同テレビジョン
田村正和主演による「警部補・古畑任三郎」(第1シリーズ)の翌年、1995年に放送された「王様のレストラン」は、「古畑任三郎」や「HR」(2002年)といったドラマ、「ラヂオの時間」(1997年)や「THE有頂天ホテル」(2006年)などの映画を一緒に作り上げてきた、盟友であるフジテレビプロデューサー・石原隆とのタッグ作だ。
傾きかけたフレンチレストランの再建のために呼ばれた伝説のギャルソンと彼に触発された若者たちの奮闘を、ほぼレストランの中だけというワンシチュエーションで活写。毎話、物語の冒頭に映し出される架空の料理人の格言など三谷らしいシャレを交えながら、シニカルだが心温まる人間模様が繰り広げられる。

(C)共同テレビジョン
今ではすっかり三流になってしまったフレンチレストラン「ベル・エキプ」のオーナーシェフが亡くなり、その息子で新オーナーとなった原田(筒井道隆)は、店を立て直すべくかつてこの店で働いていたギャルソン・千石(松本幸四郎、現:松本白鸚)に店へ戻るようオファー。初めは乗り気でなかった千石だが、ポンコツな従業員たちを変えるべく奮闘していく。
物腰は柔らかいが頑固で譲らない千石を演じた白鸚をはじめ、キャスト陣も筒井道隆、山口智子、鈴木京香、西村雅彦(現:西村まさ彦)、小野武彦、梶原善、白井晃といった三谷作品の常連たちが顔を揃えており、個性の立ったキャラクターたちの笑いあり涙ありの人間模様を軽快なやりとりで体現。

(C)共同テレビジョン
中でも才能豊かだがいかんせんやる気がない若きシェフの磯野を演じた山口は、ことあるごとに千石とぶつかり合う女性を好演。太々しい態度や荒っぽい言葉遣い、しかめっ面など表情豊かに千石への嫌悪感を表現しているが、随所で見せるコミカルな演技の塩梅も絶妙で、嫌味のないチャーミングな人物像を作り上げている。
その一方、物語が進むにつれて千石の熱意にほだされ、シェフとしての自覚に満ちた顔つきになるなどキャラクターの成長も回を重ねながら丁寧に表現。人間としての芯の強さが感じられ、山口のイメージ、生来の魅力も生かされたハマり役と言えるだろう。

(C)共同テレビジョン
伝説のギャルソンと半人前だがお人好しのオーナーを中心に、個性豊かなメンバーたちがレストランとして一つにまとまっていく"チームもの"という要素は、大河ドラマの「新選組!」(2004年)や「鎌倉殿の13人」(2022年)などにも通じており、様々な面で三谷幸喜らしさが詰まっている。今後も新作が控えるタイミングだけに、三谷が紡ぎ出す物語の面白さや魅力を「王様のレストラン」で再確認しておきたい。
文=HOMINIS編集部
放送情報【スカパー!】
王様のレストラン
放送日時:2024年9月7日(土)14:00~
チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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