黒木華の静かな演技やアドリブが光る、映画「せかいのおきく」
2024.7.24(水)
2014年に山田洋次監督の「小さいおうち」で第64回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞するなど、その確かな演技力で多くの人を魅了し続けている黒木華。古風な顔立ちと凛とした佇まいが印象的な彼女が、阪本順治監督とタッグを組んだのがモノクロ時代劇「せかいのおきく」(2023年)。
(C)2023 FANTASIA
気鋭の日本映画製作チームと世界の自然科学研究者が協力したYOIHI PROJECTの第1弾作品で、資源が限られていた江戸時代のサーキュラーバイオエコノミーがテーマのラブストーリー。貧しくもたくましく生きる長屋の住人たちをみずみずしく描いている。
武家育ちでありながら今は貧乏長屋で父の源兵衛(佐藤浩市)と2人暮らしのおきく(黒木華)は、気がつけば、毎朝便所の肥やしを汲んで狭い路地を駆ける中次(寛一郎)のことを考えてしまう毎日。ある日、源兵衛が昔の因縁で命を狙われ、一緒にいたおきくは喉を切られて声を失ってしまう。一時は生きる活力さえも失ってしまったおきくだったが、元気を取り戻し、以前のように寺子屋で文字を教えるように。一方、おきくのことが気になる中次は、臭い汚いと罵られながらも、いつか読み書きを覚えて世の中を変えたいと思っていた。
黒木が演じるおきくは、活発でしっかり者でありながら可愛らしさやいじらしい面もある女性。汚穢屋である中次や中次の兄貴分的存在の矢亮(池松壮亮)とも対等で、身分差も気にせず笑い話をする快活さも持ち合わせている。声を失ってからも、その状況を受け入れ力強く生きようとする姿はたくましくもあり美しくも映る。
(C)2023 FANTASIA
そんな彼女を人間らしくありのままで演じた黒木。父親や矢亮との掛け合いはしっかり者で、中次のことを思って悶絶するときは少女のようと、現代を生きる23歳の女性と変わらない感性でおきくを作りあげている。派手な芝居はしないが、おきくのちょっとした表情から彼女が何に喜び何に傷ついたかが手に取るように分かるのは彼女の演技があってこそだ。
中盤で声を失ったおきくは、読み書きができない中次に身振り手振りで気持ちや状況を伝えようとする。江戸時代は手話がなかったため、その必死に気持ちを伝える姿から真剣さがありありと感じ取れる。ちなみにこの身振り手振りは黒木のアドリブ。彼女自身から出てきた仕草のため、より彼女が言いたいことが手に取るように分かる。
特にラストシーンの雪の中での中次とのラブシーンは、あふれる思いが垣間見られるとても美しいシーン。セリフがなくても仕草と表情、佇まいで心情を表現していく黒木の演技の深さを感じ取ることができる。
どのような役でもその世界にしっかりと生きている人物を表現してきた黒木華。本作で見せた少女のようだが凛とした女性をはじめ、現在放送中の大河ドラマ「光る君へ」(NHK)での勘の鋭いただ者ではない雰囲気を漂わせる女性など、作品によってさまざまな顔を見せる。そんな彼女のセリフを超えた芝居を堪能できる「せかいのおきく」。隠れた名作を堪能してはいかが。
文=玉置晴子
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