チャン・ユンロン(張雲龍)、チェン・ルオシュエン(陳若軒)の絶妙なコンビ感！「陳情令」「君子盟」の系譜を受け継ぐ成熟したブロマンス時代劇

2024.7.18(木)

"ブロマンス時代劇"を一大ジャンルへと押し上げた「陳情令」(2019年)の配信開始から5年。その後も、中国のイケメン俳優を起用した「山河令」(2021年)や「君子盟」(2023年)といった大ヒット作が誕生し、質の高い成熟したブロマンス作品が続々と日本に上陸。その系譜を受け継ぐサスペンスフルな歴史活劇が、8月9日(金)よりチャンネル銀河にてTV初放送される「山河之影 錦衣衛と謀りの王朝」だ(8月4日(日)に第1話の先行放送あり)。

主人公は"錦衣衛(きんいえい)"と呼ばれる明朝の秘密警察に属する2人の青年。だが、一方は身分を偽って紛れ込んだ盗賊、そしてもう一方は生真面目な性格ながら権力を追い求める正義漢と、キャラクターは正反対。そんな2人が反発し合いながらもいつしか相棒となって巨大な陰謀に立ち向かっていく姿が評判を呼び、中国で大きな支持を集めた。

本作の舞台は、皇位を巡るクーデター"靖難の変"により、大混乱に陥った明朝初期の宮廷。幼くして父を殺され、その"コソ泥"によって自らも傷を負った陸錚(チェン・ルオシュエン)は10年後、錦衣衛の総旗となり、悪事を働いた者を罰するべく事件の真相を探っていた。

一方、その下手人とされる"コソ泥"の李霧(チャン・ユンロン)は相変わらず泥棒稼業から足を洗えずにいたが、10年前に傷を負わせた名も知らない少年への罪悪感が消えず、消息を追い続けていた。

そんな2人が、互いに正体を知らないまま再会。初めこそ相手に悪印象を持った2人だが、協力して謎の刺客と戦ううち、いつしか信頼関係で結ばれていく。

気持ちいいほどに正反対な2人の掛け合いが楽しい本作。李霧は頭の回転が速く、どんな場面も口八丁で切り抜ける軽妙なキャラクター。「己を犠牲にしてまで人助けはしない」と言いながらも、盗みを働く子どもを一芝居打って助けてやるなど、情に厚い一面も持っている。

そんな李霧は、夜不収千総の"李東方"になりすまして潜り込んだ宴で陸錚と出会う。「古剣奇譚～久遠の愛～」(2014年)でブレイクしたチャン・ユンロンが、泥棒稼業に手を染め、次々と小ずるい手を使いながらも、愛嬌があって憎めない李霧役を魅力的に演じている。

一方の陸錚は、生真面目な正義漢。「悪事を働く者は決して許さない」という強い信念の持ち主で、実父を殺めた下手人を必ずこの手で捕まえたい、そのためにも早く昇進して権力を得たいと望んでいる野心あふれる青年だ。「九州縹緲録～宿命を継ぐ者～」(2019年)や「有翡(ゆうひ) -Legend of Love-」(2020年)などの作品で活躍するチェン・ルオシュエンが、そんな頑固かつ孤高のキャラクターを熱演している。

そんな2人のアンサンブルが、初対面から絶妙で小気味良い。何かと怪しい素振りを見せる李霧を「ひょっとして盗賊では？」と疑いの目で見る陸錚と、適当な嘘を並べてその場を切り抜けようと綱渡りの会話を繰り広げる李霧のやり取りが何とも可笑しい。"李東方"に成りすますことに成功した李霧が陸錚とコンビを組み、命を懸けて陰謀に挑んでいく。

さらに、李東方の配下にして妹分である美しい侠客・舒棠(スン・イー)と李霧とのロマンスも見どころだ。舒棠は、任務を遂行のために"李東方の妻"を演じるうち、実は情に厚い李霧の素顔に触れ、次第に惹かれていく。この恋模様が、李霧と陸錚との信頼関係にも影響を及ぼし、複雑に入り組んだ陰謀劇をよりドラマティックなものへと昇華させている。

意外性のあるストーリー展開と小気味良いアクション、さらに時代考証にもこだわり抜いた衣装や舞台セットも高い評価を得て、"猫眼(Maoyan)"や"骨朵(Guduo)"といった中国国内のドラマランキングを沸かせた本作。チャン・ユンロン、チェン・ルオシュエンによる最強バディが辿る結末はもちろん、2人の胸熱のブロマンスにも注目しながら見届けてほしい。

文＝酒寄美智子

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