和風"神ビジュ"の北川景子が堪能できる!女剣士を演じるため剣術の練習に半年間をかけた「花のあと」
2024.6.29(土)
イギリスやアメリカにおけるシェイクスピア劇のように、藤沢周平が遺した時代小説の映画化作品は、演技力を磨きたい若手俳優にとってのひとつの登竜門となっている感がある。
真田広之と宮沢りえが共演した「たそがれ清兵衛」のヒットに始まり、木村拓哉主演の「武士の一分」、そして本作の北川景子主演「花のあと」。どれも藤沢周平が1997年に亡くなってから制作され、時代小説に馴染みがない若い世代にも人気となった。
この3作に共通するのは、藤沢が設定した江戸時代の架空の東北の藩「海坂藩」が舞台になっていること。そして、身分は高くなく慎ましやかに生きている主人公が本当はすごい剣の使い手であり、同じぐらい腕の立つ男と決闘すること。仇討ち物の王道的パターンながら、愛する人のために命をかける善良な人々の姿が胸を打つ。
(C)2010「花のあと」製作委員会
「花のあと」で北川が演じる以登は、幼い時から父・寺井甚左衛門(國村隼)に剣の手ほどきを受け、城下では女ながら羽賀道場の二番手、三番手を破るほどの剣豪として知られていた。毎年恒例の花見の席で、剣を交えたことはなかった羽賀道場の高弟・江口孫四郎(宮尾俊太郎)に声をかけられ、やがて彼との手合わせが実現する。
以登が女だからと言って手加減せず打ち負かした孫四郎に、以登は一瞬で恋に落ちる。しかし、自分には家が定めた許婚・片桐才助(甲本雅裕)がいて、孫四郎も他家の婿養子になることが決まっていた...。どうしようもなく、孫四郎への想いを断ち切るしかなかった。
(C)2010「花のあと」製作委員会
奏者番の娘・加世(伊藤歩)に婿入りした孫四郎は、幕府との交渉の使者に選ばれるが、加世とひそかに恋仲である重臣で妻子もある藤井勘解由(市川亀治郎 ※現・市川猿之助)に間違った手順を教えられ、江戸城で藩主の名を貶めることになってしまう。その責任を取って、孫四郎は自害。ショックを受けた以登は、才助に真相を探ってほしいと頼み、不倫がばれそうになった勘解由がわざと孫四郎に失敗させたのではないかと疑う。
(C)2010「花のあと」製作委員会
北川は、大河ドラマ「西郷どん」(天璋院篤姫役)、「どうする家康」(お市の方、茶々役)などにも出演し、日本髪に着物姿のイメージも定着しているが、14年前に公開された本作が時代劇初挑戦だった。しかも、女の剣豪というアニメならともかく実写映画ではあまりない役。剣術や殺陣の猛特訓を半年間ほどしてから撮影に挑んだという。
終盤の決闘シーンでは、その練習の成果をたっぷり観せてくれる。袴をはいた稽古着姿で複数の男たちと大立ち回りを演じた後、歌舞伎俳優の市川を相手に刀を抜いてにらみ合い、お互いの間合いを計りながら切り結ぶシーンは緊迫感に満ちている。北川の動きはシャープで、まさにアニメから抜け出してきたようで"神ビジュ"が堪能できる。
(C)2010「花のあと」製作委員会
現代のラブストーリーとは違って、好きな人ができても相手にも周囲にも打ち明けられず、自分の胸の内にだけに秘めておく...という恋。北川はそんな繊細な感情を、憂いに満ちた表情で演じている。また、親の決めた許嫁でしかなかった才助の優しさと寛大さを知り、次第に心を開いていく様もリアルだ。
初めての時代劇ということで初々しさとぎこちなさはあるが、父親役の國村隼も完成披露試写会で"難しい場面でもとにかく体当たりでまっすぐに立ち向かった"と語っていたとおり、その姿勢は以登の懸命さにも通じる。
本作の中西健二監督と北川は、「大河への道」(2022年)で再び組んだ。そこでも伊能忠敬の元妻を演じたように、今やすっかり時代劇は北川のレパートリーのひとつとなった。そんな彼女の原点のひとつを今、改めて振り返ってみてはいかがだろうか。
文=小田慶子
放送情報【スカパー!】
花のあと
放送日時:2024年7月20日(土)19:00~7月23日(火)12:15〜、7月31日(水)9:00〜
チャンネル:WOWOWプラス
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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