窪田正孝が藤ヶ谷太輔とのキスシーンで表した"純真な"歪んだ愛から見る圧倒的な表現力
2024.6.28(金)
月9ドラマ「ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~」シリーズや、連続テレビ小説「エール」など数々の作品で主演を務める窪田正孝。2022年の映画「ある男」では、第77回毎日映画コンクール男優助演賞、第32回日本映画批評家大賞助演男優賞、第46回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を獲得するなど、主演だけでなく助演においても存在感を発揮する国民的実力派俳優だ。主演や助演といったポジションに関わらず視聴者に強い印象を残し、しっかりと評価を得ているというのは、正に"実力派"であることの証明に他ならない。
そんな彼の圧倒的な表現力が堪能できるのは、映画「ある男」でもそうだが、やはり"ミステリアスな役"だろう。というのも、"ミステリアスな役"はセリフが少なく言葉での表現に頼ることができないことが多いため、どうしても他の表現方法で「不気味さ」や「気味の悪さ」「怖さ」「気持ち悪さ」「謎めいた様子」などを表す割合が多くなってしまうからだ。そんな中で、ぜひ見ていただきたい作品が、2016年の映画「MARS~ただ、君を愛してる~」だ。
(C)劇場版「MARS~ただ、君を愛してる~」製作委員会 (C)惣領冬実/講談社
同作品は、惣領冬実の漫画「MARS」を実写化したドラマ「MARS~ただ、君を愛してる~」の劇場版で、ドラマでは描き切れなかった、牧生(窪田)の歪んだ愛情が零(藤ヶ谷太輔)とキラ(飯豊まりえ)、牧生自身の運命をも狂わせる最終章を描いている。
海で奇跡的に出会った零とキラ。過去に心の傷を抱えながら孤独に生きてきた2人は惹かれ合い恋人となる。そんなある日、零の死んだ弟の親友・牧生が転校してくる。牧生は零の持つ秘めた一面である"怒りに火が付くと抑えられない激しい凶暴性"に憧れ、キラと一緒にいることで変わっていく零を許せなかった。牧生は興信所を使ってキラの忌まわしい過去を突き止め、2人を別れさせようとする...。
窪田は、零の激しい凶暴性に憧れて何とかその一面を引き出そうと奮闘する牧生を熱演。零を穏やかな性格に変えてしまったキラを憎んで、どうにか排除しようと暗躍するという役どころなのだが、その怪演ぶりたるや見ると息をするのも忘れてしまうほどに引き込まれてしまう。
外見は美しく、当たりは柔らかで、同級生の女子からも人気があるのだが、普段の生活では異性に興味がないようなクールな対応を見せる一方、心の底では零への歪んだ愛情で満たされており、1人のシーンではそれが外に漏れ出てくるという"薄気味悪さ"で物語を引っ張っていく。零とキラとの恋愛とつらい過去を乗り越えていくさまが物語の主軸ではあるのだが、窪田が描く"牧生の空恐ろしさ"が、主軸にどう影響するのかというところも見どころとなっている。
(C)劇場版「MARS~ただ、君を愛してる~」製作委員会 (C)惣領冬実/講談社
零やキラの前で見せる正体を隠した牧生と、歪んだ愛情が全面に出ている牧生という二面性を見事に演じ分けると共に、終盤で見せる本性には圧倒されてしまう。目線の動きや口調、返すセリフの間の取り方、感情の移ろい方...。ありとあらゆる表現方法を用いて、歪んだ人格と歪んだ倫理観、零への歪んだ愛情を、繊細かつ大胆に表現。
そんな中で、特筆すべきは「歪んでいながらも純真である」というところだ。純真故にその歪みは正されることはなく「周りとしてはどうしようもない」という恐怖と絶望を感じさせると共に、ある種の清々しさ、清らかさまでも感じさせてくれる。
それが最もよく出ているシーンが、零とのキスシーンだ。作品ではドラマでのワンシーンを差し込む形で映しているのだが、その瞬間だけは牧生の零に対する"純真な思い"が存分に表されており、物語をより高次なものに高めている。
歪んではいるが、清らかさまでも感じさせる窪田が表現した牧生の純真さに注目しつつ、彼の圧倒的な表現力を堪能してほしい。
文=原田健
放送情報【スカパー!】
MARS~ただ、君を愛してる~
放送日時:2024年6月30日(日)16:15~
チャンネル:WOWOWライブ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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