安田顕が滲み出る哀愁と視線の演技で苦悩の警察官を演じる、ミステリースペシャル「満願」
2024.6.25(火)
6月に最終回を迎えたばかりの、熱気で溢れかえっていた1995年の渋谷を舞台にした高橋海人(※「高」は正しくは「はしごだか」)主演の青春群像劇「95」に出演した安田顕。7月からは自身が企画・プロデュースを手がける二人芝居「死の笛」が全国3都市で上演を予定しており、共演する林遣都とのコラボレーションにも熱い期待が集まっている。
シリアスな役からコミカルな役まで幅広く演じる安田。実力派俳優なのは多くの人が認めるところだが、そんな安田の思わず釘付けになってしまう演技がたっぷり堪能できる作品が「夜警」だ。本作はNHKの3夜連続ミステリードラマ「満願」にて放送されたもの。原作は米澤穂信の短編集「満願」で、6作品の中から3作品がドラマ化された。第1夜は西島秀俊がやり手の商社マンを演じた「万灯」、第2夜は安田がベテラン警察官を演じる「夜警」、第3夜が高良健吾が弁護士を演じる「満願」だ。
今回は「夜警」で、部下が起こした事件に苦悩する警察官・柳岡を演じた安田の、味と存在感のある演技に注目したい。
■安田演じる、寡黙に職務を全うする警察官・柳岡の視点を通して事件は描かれる
本作の前半に流れるのは、「川藤の葬儀が終わって2日が経った。俺はつくづく思った。この交番にいたのは警官に向かない男だった、と」という主人公のナレーション。町の交番勤務の柳岡(安田)の下に入ってきた新人・川藤浩志(馬場徹)が、刃物を持った犯人に発砲し、殉職した事件からミステリーは幕を開け、柳岡が川藤の兄を訪ねるところから徐々に真相が紐解かれていく。
弟のことを知りたがる兄に、川藤は立派な警察官だったと伝えると、「柳岡さん、あなた、本当にそう思ってらっしゃいますか?」と切り返され、目を伏せて川藤の遺影に視線を移す柳岡。その安田の表情、醸し出す不穏な空気だけで、「事件の裏に何があったのだろうか?」と、ドラマの中に引きずり込まれる。川藤が新人警察官として配属された時の思い出がフラッシュバックし、やがて外には雨が降り出す。柳岡は、川藤の兄から彼の生い立ちを聞き、「警察官になってはいけない人間だった」という言葉にじっと耳を傾ける。そして、事件の日の出来事が鮮明に描かれていく...。
■雨の中、交番の前に立ち尽くすエンディングシーンが余韻を残す

食事に誘っても、そっけなく断り、明るいところがある反面、スイッチが入ると別人のように攻撃的になる一面も持っていた川藤。そんな新人警察官を頭ごなしに怒っていた時代を通り過ぎ、今のポジションを受け入れて任務を全うしている柳岡を、安田はセリフではなく、滲み出る哀愁や視線で表現している。
そして、新人警察官・川藤の発砲事件の謎を解くキーになったのは、川藤の兄との会話だった。不思議な出来事が連続して起きていた事件当日。その日の川藤の行動が一つの線で繋がった時に、ひとり歩く柳岡の肩に再び、降り出す雨。
事件の証拠を交番の近くで見つけ、なんとも言えない表情を見せる安田の演技、本降りになってきた雨の中、交番の前で立ち尽くす背中は、「ザッツ・名画」と言えるエンディングシーンだ。安田が見せた、寡黙にして雄弁な演技が、終始素晴らしい作品だ。
文=山本弘子
放送情報【スカパー!】
ミステリースペシャル「満願」 一挙放送
放送日時:2024年7月14日(日)10:55~
チャンネル:ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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