西島秀俊が20年前に楳図かずおホラーで見せた卓越した演技力が圧巻!楳図かずお恐怖劇場『蟲たちの家』
2024.6.24(月)
2021年に主演作「ドライブ・マイ・カー」が、第94回アカデミー賞4部門にノミネートされ、国際長編映画賞に輝いた俳優・西島秀俊。その実力はすでに多くの人が知るところだが、同作での演技力が高く評価され、その存在感をさらに世界にまで広めた。そんな西島が今から約20年前の2005年に出演したのが、「楳図かずお恐怖劇場『蟲たちの家』」だ。
(C)楳図かずお/「楳図かずお恐怖劇場」製作委員会
不動産会社に勤める御厨蓮司(西島)は、家に引きこもりがちだが物静かで美しい妻・留以子(緒川たまき)とふたり暮らし。ある日、蓮司は、以前から自分に好意を寄せてくれる後輩の羽奈子(しらたひさこ)に、「妻が自分のことを蟲だと思い込み、人間でなくなった」と打ち明け、自分の言うことが妄想かどうか、自宅に来て確かめてほしいと頼む...。
(C)楳図かずお/「楳図かずお恐怖劇場」製作委員会
原作者の漫画家・楳図かずおのデビュー50周年記念作でもある本作は、猜疑心の強い夫と、そんな夫から逃れたいという気持ちから、自分を蟲だと思い込んでしまうようになった妻による、奇妙な夫婦愛を描いた中篇ホラー。西島は、どこか張り詰めた雰囲気を漂わせるサラリーマン・蓮司を演じている。
かつての蓮司と妻・留以子が、穏やかな日々を過ごしていた様子を映し出す回想シーンでは、蓮司という男性が、自宅でも仕事に追われながら、そんな自分の世話をしてくれる妻をいたわる愛妻家であることが、西島の優しい声で伝わってくる。そして現在、そんな穏やかな日々はなくなってしまったのだが、自分を呼び出した羽奈子に対して待ち合わせに遅れたことを詫びる場面でも、その声は柔らかい。どうやらただの先輩・後輩ではないような会話を交わす中で、蓮司は突然、羽奈子の腕を掴み、「家に来てくれないか。留以子に会って確かめてほしい。これが俺ひとりの妄想かどうか」と頼み込む。そのシーンでの西島は、かなり引き気味のカメラアングルにもかかわらず、まるで子犬のような潤んだ瞳で羽奈子を見上げているのがわかる。その弱々しくも不安げな様子で、蓮司の心情を体現している。
(C)楳図かずお/「楳図かずお恐怖劇場」製作委員会
その後描かれるのは、妻・留以子の視点からの過去。そこでの蓮司は嫉妬深く乱暴者で、酔っ払って帰宅した時は、「昼間、男と歩いているところを見た」と妻に皿を投げつけ、「誰だ!」と怒鳴る。カメラに背中を向けているため、表情は全く見えないのだが、そんな中でも西島が発する怒りは圧倒的で、観ている者すべてを震え上がらせるほどの迫力に充ち満ちている。
(C)楳図かずお/「楳図かずお恐怖劇場」製作委員会
そうして「蓮司は酔っ払うと人格が豹変」「キレると怖い」という印象を観る者に刻みつけた後に登場する、羽奈子を乗せての蓮司の運転シーンでは、西島の演技力が爆発。それまで淡々とした調子で妻の様子を報告していたにも関わらず、対向車のヘッドライトが目に入って眩しかったのか、蓮司はいきなりクラクションを連打する。その時の西島の表情は、狂気を感じさせるものに一変。しかし、隣に羽奈子がいたことを思い出し、怒りを静める。そんな一連の蓮司の心情が手に取るように読み取れるのは、まさに西島の卓越した演技力の成せる技だろう。
蓮司と留以子、そして彼ら夫婦の問題に巻き込まれる留以子の従弟・直也(内田朝陽)の3人の視点を織り交ぜて描く、過去と現在、真実と妄想、愛と憎しみが入り乱れる複雑怪奇な物語が展開。「LOFT ロフト」「クリーピー 偽りの隣人」「蛇の道」など、本作以降も西島と何度もタッグを組んでいる黒沢清監督による、暗くミステリアスな絵作りも魅力な大人のホラーを、西島の演技に注目しながら堪能してほしい。
文=中村実香
放送情報【スカパー!】
楳図かずお恐怖劇場「蟲たちの家」レピック版
放送日時:2024年7月2日(火)18:00~、2024年7月11日(木)8:30~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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