名優・高倉健が「ゴルゴ13」という「ハマり役」で観客の想像を超えてみせたハイブリッドな演技
2024.6.11(火)
1998年に紫綬褒章、2006年に文化功労者、2013年に文化勲章を受章するなど、俳優として日本の文化の向上に計り知れない功績を残した名優、高倉健。アクション映画から喜劇、刑事もの、青春もの、文芸作品、ミステリー、人情ものなど、幅広いジャンルで主演・助演を務め、中でも任侠ものでは唯一無二の存在感と迫力を見せつけ、自身の俳優としてのイメージを確立した。
高倉といえば、無口で、ストイックで、実直というイメージが強く、私生活でもそのイメージを壊さぬよう"真の映画スター"としての生き方を貫いた映画人で、そんな高倉の存在感を堪能できる作品が映画「ゴルゴ13」(1973年)だろう。「高倉といえば任侠もの」というご意見もあるだろうが、今回はあえてこの作品を推したい。なぜなら、彼の輝かしい経歴の中でも貴重な芝居が観られる作品だからだ。
同作品は、言わずと知れたさいとうたかをによる同名漫画を初めて実写化したもので、「ゴルゴ13」という通り名で恐れられている、すご腕のスナイパー・デューク東郷の活躍を描いたハードボイルド大作。
国際犯罪組織のボスであるマックス・ボア(ガダキチアン)を追う某国の秘密警察は、ボアを抹殺すべく「ゴルゴ13」(高倉)に依頼。イラン・テヘランでボアを捜すゴルゴ13は、協力者である私立探偵から情報を得るも、彼が殺された現場に居合わせてしまい、殺しの容疑者としてテヘラン警察に追われる身となる。警察の追跡から逃げつつ、ボア一味のアジトを突き止めたゴルゴ13だったが、一味の罠にはまり捕らわれてしまう。拷問を受ける中、なんとか隙を突いて逃げ出したゴルゴ13は、一味が雇った殺し屋や武装したヘリなどと戦っていく、というストーリー。
(C)東映
「ゴルゴ13」のデューク東郷と聞けば、真っ先に高倉が頭に浮かぶという人がほとんどではないかというくらい高倉がハマり役だと思うが、実際に観てみると「さすが高倉健...」と思わずうなってしまうほどに、期待感で上がり切ったハードルをやすやすと超えている。
依頼人と会うというゴルゴ13の登場シーンから、その存在感はビンビンと発せられ、ティアドロップの濃いサングラスをしていて表情は全く読めないにもかかわらず、つい表情を読み取ろうとしてしまうほどに視聴者の気を引くオーラを纏っている。それは、佇まい、歩き方、動き、座り方という動作から、口調やトーン、リズム、間というせりふ回しに至るまで、全てが緻密に計算された演技から生成されており、原作ファンを一瞬で納得させて「あのゴルゴ13が動いている!」という感動すら覚えさせてしまうほど。
無口であるため、せりふ以外での方法での表現になるのだが、観ていても無口な印象は受けない。それは、緻密な演技で雄弁に語っているからだ。そんな中で、極めつきは"背中で語る芝居"だろう。寡黙なキャラクターでもあるため、他者からの問いかけに「Yes」も「No」も言わず、ただ背中を見せるというようなシーンが多く見られるのだが、背中しか映っていないのにシーンごとに感情や思いが読み取れてしまう演技力は圧巻。漫画では「...」という表現ができるが、それを映像で体現できるという役者は稀有で、高倉の名優たるゆえんの一つに触れることができる。
また、高倉のキャリアという視点から見ると、数々の任侠ものを経て、名作「幸せの黄色いハンカチ」(1977年)との出合いを機に人情ものの作品が増えていった、その狭間の時期の作品であるため、任侠もので培った"凄味"と人情もので世間が知ることになる"話さずに雄弁に語る芝居"の、ハイブリッドな演技が楽しめる貴重な作品といえるだろう。
他の役者では演じられないハマり役で見せる、"凄味"と"話さずに雄弁に語る芝居"のハイブリッドな演技を楽しみつつ、名優が作品内で示した存在感を堪能してみてほしい。
文=原田健
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