山田孝之の俳優キャリアの原点とも言える作品、映画『クローズZERO』
2024.6.7(金)
『闇金ウシジマくん』シリーズでのダークな役どころから、『世界の中心で、愛をさけぶ』や『ステップ』など真っ直ぐなキャラクターを演じて涙を誘うこともできる現代の名俳優、それが山田孝之だ。近年でも『全裸監督』や『忍びの家 House of Ninjas』など話題作に出演し、存在感を発揮している。
その山田が最初に"悪役"を演じたのが『クローズZERO』だ。同作品は髙橋ヒロシの漫画『クローズ』が原案となっているが、ストーリーは完全オリジナル。原作の主人公である坊屋春道が不良高校である鈴蘭男子高校に転校してくる1年前を舞台とし、小栗旬演じる滝谷源治が番長として高校を制覇するまでを描いている。
山田が演じたのは、その滝谷と激突することになる芹沢多摩雄。ケンカには絶対の自信を持つ「百獣の王」であり、迫力あるドロップキックやバックドロップなどのプロレス技を得意とする唯一無二のキャラクターとなっている。アクの強いヒールキャラとなったが、山田はそのビジュアルを見事に表現。無精ひげをたくわえ、タバコをくわえながら、芹沢軍団の頂点に君臨する。山田自身、身長は169センチと大柄な方ではないが、グループの頭として放つ存在感は絶大なものがあった。
だが、2003年の『ウォーターボーイズ』で頭角を現し、その後も『H2』や『世界の中心で、愛をさけぶ』など正統派の主人公を演じており、誰かと敵対する役自体の経験が皆無だった山田にとって、2007年10月の『クローズZERO』公開当時、この役は挑戦だったはず。実際、山田はインタビューの中で「役者のイメージを変えるチャンスだった」と明かす。だからこそ、『クローズZERO』は山田の俳優キャリアにとって原点とも言える作品だ。
■代表作と重なる部分
(C)2007 髙橋ヒロシ/「クローズ ZERO」製作委員会
現在のようなビジュアルとは異なるが、一本筋が通った男というのは山田によく似合う。芹沢は警察にも目をつけられるほどの不良だが、軍団の仲間が卑怯な手を使ったと知れば怒り、大切な友人である辰川時生(桐谷健太)が病に倒れれば、年頃の高校生と同じように心を痛める。そうした人間味が山田を通してしっかりと伝わってくるからこそ、視聴者は芹沢をただの悪党とはみなさなくなっている。
これは山田の代表作である『闇金ウシジマくん』シリーズでの丑嶋馨とも通ずる部分がある。丑嶋は冷酷無比な闇金会社の社長であるが、ちゃんと部下に慕われ、同業者や他社の人間からも一目置かれるカリスマ性を備える。もちろん、同時に多くの敵も存在するのだが、それでもなぜか応援したくなるというのは、山田が作り出す独自の雰囲気ゆえだろう。そのオーラを放った最初の作品こそ『クローズZERO』なのかもしれない。
■個性の強い面々が脇を固める
(C)2007 髙橋ヒロシ/「クローズ ZERO」製作委員会
小栗旬と山田孝之の存在感が際立つ作品だが、周りを固める俳優陣の濃さも見逃すことはできない。切れ者の伊崎瞬を演じた高岡蒼甫や、早秋一家矢崎組の組長を演じた遠藤憲一らの個性の強い面々が、しっかりとそれぞれの持ち場で、見どころを生み出している。
中でも矢崎組の片桐拳を演じたやべきょうすけの"チンピラぶり"は見事と言う他ない。ケンカは弱いが、口は回り、男気がある。人間としては小者なのかもしれないが、本作の主人公で、仲間思いの滝谷と意気投合するのも合点がいく。
そして、本作最大の見せ場は激しい雨が降りしきる中での、滝谷と芹沢の一騎打ち。単純な殴り合いというわけではなく、それぞれの得意とする戦闘スタイルが透けて見えるようなバトルは、一見の価値がある。最後はどちらが勝ち名乗りを上げたのか...。しかと見届けてほしい。
文=まっつ
放送情報【スカパー!】
クローズZERO
放送日時:2024年6月19日(水) 14:35~
チャンネル:WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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