横浜流星の本気度が伝わってくる肉体演技!佐藤浩市とダブル主演の映画で見せたボクサーとしての佇まい
2024.5.31(金)

2025年の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」の主演にも決定するなど、今最も注目すべき俳優の一人となった横浜流星。そんな彼の"本気の肉体演技"を目撃できる映画が、佐藤浩市とダブル主演を果たした「春に散る」(2023年)だ。
ノンフィクション作家・沢木耕太郎の同名小説を、「ラーゲリより愛を込めて」(2022年)などの瀬々敬久監督が映画化した本作。引退を決めたアメリカでホテル事業を起こして成功を収めた元ボクサーの広岡仁一(佐藤)が、不完全燃焼の心を抱えて40年ぶりに日本に帰郷。そんな広岡の前に、不公平な判定負けに怒り、一度はボクシングをやめた黒木翔吾(横浜)が現われ、広岡の指導を受けたいと懇願する。
映画冒頭、翔吾は目的を見失い、抜け殻のような表情をしている。ところが偶然に居酒屋で出会った広岡から強烈なパンチをくらい、目が覚める。それは運命の出会いとなり、翔吾は広岡のもとでボクシングにもう一度向き合いたいと決意するのだが、横浜の表現した翔吾の目の変化から、さっそく画面に釘付けにされる。胸に湧き上がった熱を捕まえるのは「今しかない」と目にギラリとした光を宿らせていくなど、ボクサーとして上を目指していく翔吾の成長を、横浜が舌を巻くほどの説得力とともに体現している。

(C)2023映画「春に散る」製作委員会
幼い頃から空手を始め、中学時代には国際青少年空手道選手権大会で世界一となった経験を持つ彼は、命を削って勝負に挑む格闘家たちに並々ならぬリスペクトを抱いているという。なんと本作の宣伝活動が本格始動する段階でボクシングのプロテストを受験し、C級ライセンスに合格。ものづくりへのストイックな姿勢にも定評のある横浜だが、撮影前からプロと変わらない本格指導、厳しいトレーニングを乗り越えた彼の"本気度"がビシビシと伝わるエピソードだ。
鍛え上げた肉体、パンチを繰り出すスピード、ハングリー精神のみなぎる瞳...ボクサーとしての佇まいをしっかりと身につけて臨んだ本作は、最もギラギラした横浜流星を目にできる映画と言えるだろう。
翔吾を育てていく広岡に扮した佐藤浩市も、もちろんさすがの名演を披露している。翔吾と同様にくすぶった想いを抱いてきた広岡は、次第に「翔吾をチャンピオンにしたい」という情熱にかきたてられ、一度は夢を諦めた周囲の人々までを巻き込んでいく。翔吾を見守る彼の視線は温かく、躍動する翔吾が輝いていくのは、広岡がしっかりと支えているからだと実感させられる。
佐藤と横浜が、師弟、そして父子のような絆を表現している点も大きな見どころ。劇中では広岡と翔吾がトレーニングをする中でミット打ちをする場面もあるが、完成披露試写会において佐藤が「この男のパンチが重くてね」と横浜に愛情深い眼差しをむけていたのも印象的だ。そして広岡の姪で、やがて翔吾の恋人となる佳菜子役には、橋本環奈が抜擢された。元気で溌剌としたイメージのある彼女だが、本作では生い立ちに陰をまとった女性として、新境地を開いている。
そしてなんといっても圧巻なのは、数々のボクシングシーン。ボクシング監修・指導は、「あゝ、荒野」(2017年)や「ケイコ 目を澄ませて」(2022年)など、近年のボクシング映画に関わってきた松浦慎一郎が担当。翔吾を支えるトレーナー役としても出演している。
クライマックスの激闘は、翔吾と、窪田正孝演じる中西が世界タイトルをかけて挑む一戦を描く。窪田は、飄々としていてどこか捉えどころのない雰囲気がありながらも、リングに上がるとチャンピオンとしての強さを爆発させる中西の存在感を見事に刻みつけている。ボクサー役の2人はアドリブを交えてリアリティを追求し、バン!ドスン!というぶつかり合う音だけでなく、会場の揺れるような興奮までを同シーンで映し出した。
倒れながら、傷だらけになりながら這い上がっていく翔吾と中西、それを演じた2人の姿を見ていると、試合会場のオーディエンスの一人になったように歓声と拍手を捧げたくなるはずた。
文=成田おり枝
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