木村拓哉&二宮和也が己の正義を突き進み、ぶつかり合う! 映画「検察側の罪人」
2024.5.30(木)
木村拓哉と二宮和也が初共演を果たした映画「検察側の罪人」。雫井脩介の同名ミステリー小説を、映画「ヘルドッグス」や「クライマーズ・ハイ」などの原田眞人監督が映画化した本作で、木村が演じるのは、東京地検刑事部のエリート検事・最上。一方二宮は、最上の"正義"に憧れを抱く駆け出しの検事・沖野を演じた。
(C)2018 TOHO/JStorm
木村が検事を演じる...と言って思い出されるのは、2001年からフジテレビ系で放送されたドラマ「HERO」の型破りで正義感の強い検事・久利生公平だ。久利生は、ラフなジーンズとダウンジャケットという見た目からして型破りであり、さらに独特の視点で事件に向き合う。
しかし「検察側の罪人」で木村が演じた最上は、ビシッとスーツで決め、検事候補生たちに「検察官の正義」を強く理解させる堅物である。そんな最上を師と仰ぐ沖野は、背中を追いながら、最上の考える正義を実践していく。
この最上と沖野の関係が、ある殺人事件をきっかけに変化していくのが、本作の大きな見どころの一つだ。徐々に殺人事件の全貌が明らかになってくると、沖野は最上が強く後輩たちに教えてきた「検察官はこうあるべき」という理念に反して暴走し始めているのでは?と疑念を抱くことになる。
(C)2018 TOHO/JStorm
そこからは、じわじわと最上は自分が目を掛けていた後輩に追い詰められていく。自ら後輩たちに「絶対にやってはいけない」と説いてきたことに向かっていく。これまで正義のヒーローを演じることが多かった木村が、どんどんと深みにはまり、ダークサイドに進んでいってしまう姿は非常に新鮮だ。
一方、二宮も沖野の変化を見事に体現している。最初は最上に評価されたいという思いから、被疑者を執拗に取り調べる。その相手が闇社会のブローカーを務める諏訪部や、老夫婦殺害の容疑をかけられた松倉だ。諏訪部は松重豊が、松倉は酒向芳が務めた。
松重、酒向ともに、まさに怪演と言ってもいいほどの存在感で二宮の前に立ちはだかるが「できる検事」を最上に提示したい沖野はひるまない。冷静かつ高い知性でスマートに追い込む一方で、感情を剥き出しにして恫喝まがいに取り調べる緩急をうまく表現した二宮の密室での芝居は脱帽だ。
そんな最上に心酔した前半から、後半は尊敬しているからこそ最上の教えを守ろうと彼を追い込む立場へと変貌する。攻めに転じる沖野、それを力でねじ伏せようとする最上。公開当時、物語の結末にはさまざまな意見があったが、最上、沖野が互いに思う正義のぶつかり合いは見ごたえ十分だ。
主演の木村、二宮和や前述した松重、酒向のほか、物語のカギを握る橘沙穂役の吉高由里子、事件の容疑者・弓岡を演じた大倉孝二など、二人の脇を固める俳優たちの演技にも注目だ。
文=磯部正和
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