佐々木蔵之介&永作博美主演、悲しいのに笑えて、面白いのに泣けてくるラブファンタジー「夫婦フーフー日記」
2024.5.29(水)
川崎フーフによる実話ブログから生まれた書籍にファンタジー要素をプラスし、映画「婚前特急」や「まともじゃないのは君も一緒」の前田弘二監督が手掛けた映画「夫婦フーフー日記」。10年ぶり二度目の夫婦役を演じた佐々木蔵之介と永作博美が、怒涛の展開にフーフー言いながら必死に立ち向かった"ダンナ"のコウタと"ヨメ"のユーコを演じている。
物語の主人公は川崎フーフの名の通り、神奈川県川崎市に暮らす新婚夫婦。知り合ってから17年目に結婚した2人は、友人時代からユーコが作家志望のコウタを叱咤する良き関係を築いてきた。2人はユーコが故郷の福島に帰った後もことあるごとに電話をする仲だったが、恋愛関係に至ることはなかった。しかし、ユーコがお見合いをすると聞いて、ようやくコウタの尻に火がつき、一路、福島へ。こうして長き時を経て、2人はめでたく夫婦となったのだった。
友人時代は言われっぱなしのコウタだったが、結婚してからはユーコに言い返すようになり、まるで毎日が夫婦漫才。しかも入籍から1カ月でめでたく妊娠し、2人の新婚生活は幸せそのものだった。ところが、ここから怒涛の展開が始まる。妊娠9カ月の時にユーコのがんが発覚したのだ。そのため、出産後は闘病生活に突入することになる。そして、入籍からわずか493日でヨメは旅立ってしまった。
(C)2015川崎フーフ・小学館/「夫婦フーフー日記」製作委員会
悲しみに暮れるコウタの下に、2人の共通の知人に向けて書いた闘病ブログの書籍化の話が舞い込む。作家志望のコウタが「作家デビューだ!」と現実逃避していると、そんな彼の前に死んだはずのヨメが現れるようになる。こうして、いつも冷静かつ勇ましい物言いで弱腰のコウタを激励してくれたヨメと2人で闘病ブログを振り返っていくことになるのだが、そのやりとりが実にコミカル。ユーコの愛らしさが亡くなっていることを忘れさせ、くすくす笑いながら2人の愛の奇跡を辿ることになる。
コウタとユーコを演じる佐々木蔵之介と永作博美の2人が夫婦役を演じるのは2004年のドラマ「ラストプレゼント 娘と生きる最後の夏」以来。10年ぶりの共演だったそうだが、変わらぬ信頼感を持っていた2人は、特に打ち合わせはせず、本番に向かったという。あの見事な丁々発止の掛け合いは、まるで舞台のようなライブ感から生まれたものだったのだ。永作演じるユーコが竹を割ったような性格の女性だったこともあり、甘々のラブシーンはないが、産婦人科で妊娠を聞かされた時の2人の表情や互いを見つめる眼差しからこの上ない夫婦愛が伝わり、胸を打つ。
結婚、妊娠、出産という夫婦にとって幸せの絶頂期にがんが発覚するという悲しい物語であるはずなのに、2人のやりとりや亡くなってからもダンナの尻を叩くヨメの存在がとても温かく、希望を感じさせる作品になっている。そして、原作にはないファンタジー要素を違和感なく楽しめるのは、佐々木と永作の演技力のたまものだろう。笑っているのに涙が込み上げ、気付くと心が洗われている、そんな心温まる物語だ。
文=及川静
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