奥田庸介監督渾身作「青春墓場」!呂布カルマが演じる、理不尽を押し付ける漫画家にも注目!
2024.5.16(木)
「東京プレイボーイクラブ」、「クズとブスとゲス」などの奥田庸介監督が、デビュー作と同じタイトルを付けた映画「青春墓場」が、5月24日(金)に日本映画専門チャンネルで放送される。97分の物語は、ちょうど半分ぐらいで2つの話に分かれる。どちらも主人公の男性は、理不尽なことに見舞われながら、どうしたらいいのか...という思いのなか、常識とはかけ離れたやり方でその感情を昇華していく。そんな本作で、"理不尽"を主人公に浴びせる漫画家を演じているのが、ラッパーの呂布カルマだ。
呂布カルマと言えば、人気ラッパーとして活躍しているが、学生時代に漫画家を目指していたことは広く知られている。自身のコラム等でも、いかに本気で漫画に取り組んでいたかを明かしていたが、劇中では、アシスタントに対して、世の中の厳しさを"理不尽"な形で伝える漫画家を好演している。
田中惇之演じる漫画家のアシスタントは、自身のネームを、呂布カルマ扮する漫画家に見せ意見を求める。その際、漫画家は「構成を考えた方がいい」とアドバイスを含めたダメ出しをするものの、アシスタントのネームをそのまま自身の漫画に取り入れる。
当然のことながらアシスタントは「パクった」とクレームを入れるが、「若干参考にした」と言い放つと、それまで冷静だった漫画家は表情を変え「俺はお前のチンケなアイデアを形にしてやったんだぞ」と語気を強める。
アシスタントにとっては、まさに"理不尽"極まりないシチュエーションだが、後ろめたさがありつつも、立場の違いをまざまざと見せつけるようなマウントを取る呂布カルマの立ち居振る舞いや目線は、視聴者に世知辛さを伝える絶妙なさじ加減の芝居となっている。
本作は二部構成になっている。前半部分の主人公は、東京の下町の中華料理店でパートとして働く女性の息子(笠原崇志)だ。どうもいじめにあっているようだが、母親にはその事実を言わない。そんななか、母親は本作の監督である奥田演じる中華料理店で共に働く従業員に相談を持ち掛ける。


息子は、その男にも頑なにいじめの事実を言わないが、たまりにたまっていく理不尽さは、ある行動へと駆り立てられていき、それは漫画家のアシスタントの人生へと交差していく。
奥田監督が描く作品には、行き場をなくしてしまった人たちが、右往左往する姿が、絶妙な緩急を取り入れつつ、リアルに描かれている。一見、シチュエーションはなかなか現実離れしているが、ふと考えると誰にでも起こり得るような導線であるため、非常に自分事になり、感情移入してしまう。
2023年の劇場公開まで6年という歳月を費やした映画。救いがない状況のなか、人は何に救いを求めるのか―。明確な答えは出ないが、観終わったあと、どこかいい意味で弄ばれたような爽快感がある作品になっており、高校生を演じた笠原崇志、漫画家のアシスタントを演じた田中惇之、さらに高校生の母親役の堀内暁子、アシスタントと同棲する小劇場で役者をする女性役の古川奈苗の何とも言えないリアルな芝居は、自分事感を増幅させてくれ、まさに隣で起きているようなジワッとした湿り気がある。
文=磯部正和
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