田中圭と内藤剛志の演技が物語の深みとスリルを増幅!東野圭吾原作のミステリー「回廊亭殺人事件」
2024.4.29(月)
2011年6月、それまでに映像化されていなかった人気ミステリー作家・東野圭吾の3つの作品を、豪華キャストでドラマ化した「東野圭吾3週連続スペシャル」が放送された。第1弾は永作博美主演の「11文字の殺人」、第2弾は藤原竜也主演の「ブルータスの心臓」、そして第3弾が今回紹介する「回廊亭殺人事件」だ。
主演は常盤貴子で、一代で巨万の富を築いた一ヶ原高顕が生前、全幅の信頼を置いていた秘書・桐生枝梨子を演じる。枝梨子はかつて、一ヶ原の親族が集まった高級旅館・回廊亭で、恋人である里中二郎に無理心中を図られた。一命はとりとめたものの、枝梨子はその時のショックで自殺したとされていた。
だが、その自殺は偽装だった。枝梨子は整形し、高顕と仲の良かった女性の娘・本間美代子になりすます。そして亡くなった高顕の遺産相続のために再び親族が集まった回廊亭に潜入し、二郎を心中に見せかけて殺した犯人に復讐するというストーリーだ。
ミステリー作品初出演という常磐の演技も見どころだが、ここでは脇を固める2人の男優にスポットを当ててみたい。まずは、かつて枝梨子が愛した二郎を演じる田中圭。田中が大ブレイクしたのは2016年放送の「おっさんずラブ」からで、ブレイク前の本作の演技は注目だ。
原作 東野圭吾「回廊亭殺人事件」(光文社刊)/(C)フジテレビジョン
二郎は主に、枝梨子の回想シーンに登場する。神社の境内を2人で歩いていると、すれ違った女子学生が枝梨子の容姿を馬鹿にする声が聞こえてくる。しかし二郎は、何も言わずにただしっかりと枝梨子の肩を抱く。また仕事場で初めて枝梨子と顔を合わせた時は、怪訝そうな顔をするが、真面目に働く青年といった雰囲気がある。
そんな様子から、二郎という人物は純で不器用という印象を受ける。同時に少し、心に何かを抱えているような空気も伝わってくる。その"心に抱えた何か"がクライマックスに関わってくるのだが、じわじわとそれを感じさせる田中の演技は秀逸と言えるだろう。
もう1人注目したいのが、県警の矢崎警部を演じる内藤剛志だ。回廊亭に潜入した枝梨子は二郎を殺した犯人を探すが、目星を着けた一ヶ原由香が何者かに殺害されてしまう。その捜査のために現れたのが矢崎だった。もちろん、枝梨子は由香を殺していないが、美代子になりすましていることがわかったら復讐の計画も台無しになる。
登場した時の矢崎はざっくばらんな雰囲気で、少々下品な会話をしたりしながら、部下とともに捜査に当たる。由香殺害の動機となりうる遺産の総額を弁護士が話した時は「120億!」と声を裏返らせて叫び、由香がいなくなりそれぞれの取り分が増えたことに対しては「莫大に増えちゃいましたね」と飄々と語る。
そういったシーンでの矢崎はどこか頼りない印象を受けるが、真相に近づくにつれ雰囲気が変わっていく。本物の美代子が茶道の名手だった話を持ち出して探りを入れ、部屋に落ちていた毛髪の鑑定を進め、徐々に枝梨子を追い込んでいく。物語の終盤、鑑定結果を皆に伝える前にかすかに微笑む矢崎の姿は、まさに多くの事件を解決してきた熟練の刑事の姿だ。
回想に登場し、枝梨子の中に渦巻く情念を描き出す二郎。復讐に燃える枝梨子を追い詰めていく矢崎。田中と内藤がその演技力で十二分に存在感を発揮していることによって、より物語が深まり、よりスリルが増し、ドラマとしての完成度がより高まっていると言えるだろう。
本作は「東野圭吾3週連続スペシャル」の3作品の中でも、恐らく...もっとも意外で、もっとも悲しいラストが待っている。主演の常盤貴子はもちろん、田中圭、内藤剛志らの渾身の演技にも注目しながら、この物語の結末を見届けてほしい。
文=堀慎二郎
放送情報【スカパー!】
東野圭吾スペシャル 回廊亭殺人事件
放送日時:2024年5月3日(金)19:15~ほか
チャンネル:WOWOWプラス
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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