安藤サクラ、永山瑛太の掛け合いが余韻を残す!豪華メンバーのアンサンブルが堪能できる是枝裕和監督作「怪物」
2024.4.26(金)
世界3大映画祭の一つであるカンヌ国際映画祭が、今年も5月14日(火)に開幕となる。今年の「コンペティション部門」には、フランシス・フォード・コッポラ監督の「メガロポリス(原題)」、ヨルゴス・ランティモス監督とエマ・ストーンが3度目のタッグを組んだ「カインズ・オブ・カインドネス(原題)」など、名匠による意欲作がズラリと並び、日本からは「ある視点部門」に奥山大史監督の「ぼくのお日さま」が選出されている。常に世界の映画界の潮流を作り出し、映画人の憧れの地とも言える場所だが、昨年の同映画祭を賑わせたのが、是枝裕和監督の「怪物」(2023年)だ。
「DISTANCE」(2001年)が「コンペティション部門」に出品され、「誰も知らない」(2004年)では柳楽優弥が最優秀男優賞を受賞。「そして父になる」(2013年)は審査員賞、「万引き家族」(2018年)は最高賞のパルム・ドールを受賞し、自身初となる韓国映画「ベイビー・ブローカー」(2022年)ではソン・ガンホが男優賞を受賞するなど、是枝監督にとってカンヌ映画祭はとても縁の深い映画祭だ。そんな中で「怪物」は、カンヌ国際映画祭で脚本賞と独立部門「クィア・パルム賞」の2冠を獲得。またしても是枝監督作品が、同映画祭で大きな存在感を示したのだ。
(C)2023「怪物」製作委員会
「花束みたいな恋をした」(2021年)やドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」(2021年)などで圧倒的な人気を博す脚本家の坂元裕二と、是枝監督が初タッグを組んだ「怪物」。大きな湖のある郊外の町を舞台に、よくある子ども同士のケンカを巡って、息子を愛するシングルマザー、生徒思いの学校教師、無邪気な子どもたちの食い違う主張が次第に社会やメディアを巻き込んで、大ごとへと発展していく様を描く。
是枝監督が自身以外の脚本で映画を撮るのは、デビュー作「幻の光」(1995年)以来初めてのこと。坂元が、プロデューサー陣と企画開発したプロットを是枝監督に持ち込み、初タッグが実現した。是枝監督が「リスペクトしている」と熱く語る坂元の脚本が、なんとも秀逸。観客はまずシングルマザーの視点で子どもたちや教師を見つめつつ、"怪物"の正体を探していこうとする。
(C)2023「怪物」製作委員会
しかし徐々に様々な人の背景や本音が浮かび上がり、観ているこちらも物語に激しく巻き込まれながら、一方からしか物事を見ていなかったことに気づかされていく。凱旋記者会見では、是枝監督が「プロットをいただいた時から、一体なにが起きているか分からない。分からないのに読むのが止められない。映画の半分が過ぎてもまだ分からない。こんな書き方があるんだなと。自分のなかにはない語り方でした」と、坂元の脚本から刺激を受けたことを明かしていたが、まさに一瞬たりとも目が離せない魅力にあふれている。
音楽を手掛けたのは、2023年3月に亡くなった坂本龍一。彼にとって、本作が最後に手がけた映画音楽となった。是枝監督は撮影場所の諏訪の風景を見ながら、坂本のピアノを思い浮かべたという。登場人物のそれぞれの"生"に寄り添うような音楽が、やさしく染み渡ってくる。
(C)2023「怪物」製作委員会
奇跡とも言うべき布陣が集結した本作は、役者たちも豪華だ。シングルマザーの早織を演じるのは安藤サクラ。我が子の異変を感じ、担任教師や校長に抗議をする母親の怒りや力強さ、戸惑いを見事に体現し、第47回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞に輝いた。そして担任教師の保利を演じた永山瑛太も、強烈な存在感を発揮している。保利の放つ不気味さが、本作の群像劇としての面白さを担っているといっても過言ではないだろう。
安藤と永山の掛け合い、黒川想矢と柊木陽太が表現した2人の少年の心の葛藤も、忘れられない余韻を残す。豪華なメンバーのアンサンブルを堪能しつつ、自分の中に怪物はいないのか?と問いかけたくなるような1作だった。
文=成田おり枝
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