菅田将暉の繊細で純粋な演技に惹き込まれる!役所広司と豪華競演を果たした映画「銀河鉄道の父」
2024.4.20(土)
ヴィム・ヴェンダース監督作品「PERFECT DAYS」(2023年)で第76回カンヌ国際映画祭の最優秀男優賞に輝くなど、世界にその名を轟かせる俳優・役所広司。常に新たなチャレンジを続け、「ミステリと言う勿れ」(2023年)は大ヒットを記録、人気・実力共に世代を代表する存在となった菅田将暉。映画ファンにとって、「彼が出ている作品ならば観たい」と思わせてくれる2人の俳優が親子役として初共演を果たすという祝福すべきタッグが叶ったのが、宮沢賢治の生涯を父親の視点から描いた「銀河鉄道の父」だ。役所が父の息子へのあふれんばかりの愛、菅田が賢治の危ういまでの純粋さを、それぞれ圧巻の演技で体現し、鮮やかな化学反応を巻き起こしている。
(C)2022「銀河鉄道の父」製作委員会
本作は、門井慶喜の第158回直木賞受賞小説を映画化した人間ドラマ。質屋を営む裕福な政次郎の長男に生まれた賢治(菅田)は、質屋は貧乏人から金をむしり取る弱い者いじめだとして、家業を受け継ぐのを拒否。その後も突飛な言動を繰り返して父・政次郎(役所)と母・イチ(坂井真紀)らを振り回す。そんな中、彼の最大の理解者であった妹のトシ(森七菜)が結核で倒れてしまう。賢治は一心不乱に物語を書き綴り、病床の彼女に読み聞かせるが願いは叶わず、みぞれの降る日にトシは旅立ってしまう...。
小説の執筆にあたり、原作者の門井は大量の宮沢賢治の資料の中から父・政次郎について書かれた資料を集めたようで、父親の視点で賢治の生涯と、その家族の愛が明らかとなる。教科書に載る偉人として知られる賢治が「ダメ息子だった」という大胆な設定が、とても新鮮だ。
(C)2022「銀河鉄道の父」製作委員会
役所は、厳格な父であろうとしながらも、息子を溺愛し、いつでもその愛が溢れ出てしまう政次郎を、時にユーモラスに、ある時は情熱的に表現。賢治の行動に戸惑いつつ、次第に賢治の紡ぎ出す物語の一番のファンになっていく過程は、観ているこちらも心を揺さぶられること間違いなし。賢治の迷いを全身で受け止め、支える政次郎の愛は、まるで大木のよう。家族の愛がいかに人を励ますものなのかと、まぶしさを感じられるはずだ。
一方の賢治は、「自分は人のために何ができるのか」「自分は何者なのか」ともがき続ける。透き通ったガラスのように繊細で純粋な賢治の心を、菅田が演じ切った。菅田の演じる賢治のまっすぐな瞳は、「人の役に立つ人間になりたい」と願った彼が生み出したからこそ、時を経ても賢治の物語が人々の胸を打つのだと実感するほど力強い。また病に伏せる賢治を演じるために、菅田は食事制限にもトライ。壮絶な生き様を刻み込んでいる。
(C)2022「銀河鉄道の父」製作委員会
そんな2人が激しくぶつかり合い、支え合っていく姿を描く本作は、名シーンの連続だ。とりわけトシが亡くなり、「もう自分には何の力もない」と肩を落とす賢治に、政次郎が「私が一番の読者になる!物語を書け!」と檄を飛ばす場面は、手に汗を握って見入ってしまうことだろう。「八日目の蝉」(2011年)や「いのちの停車場」(2021年)などで知られる名匠・成島出監督は、激情と穏やかな表情、温かさなど、緩急のある演出で人の心の豊かさを魅せていく。俳優陣の名演や、家族の愛、生きる意味までを伝える1作をぜひ堪能してほしい。
文=成田おり枝
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