パク・ヒョンシクのロコ演技に好感...世界的大ヒットとなった「ドクタースランプ」で新たな魅力を開拓
2024.3.31(日)
昨年11月に32歳の誕生日迎え、洗練された"貴公子"ぶりはそのままに大人の色気が加わったパク・ヒョンシク。約1200万人ものInstagramのフォロワー数を誇る彼が、1月には待望の日本公式Xをオープンし、実に7年ぶりに開催された日本ファンミーティング「PARK HYUNG SIK 2024 ASIA TOUR FAN MEETING SIKcret Time IN TOKYO」(3月10日/東京・NHKホール)も大盛況...と、その人気を爆発させている。
その要因の1つにもなっているのが、3月17日に最終話(第16話)を迎えたばかりのNetflixシリーズ「ドクタースランプ」の世界的大ヒットだ。2013年の学園ドラマ「相続者たち」以来、約10年ぶりとなるパク・シネとの共演ということもあり、今年1月の配信開始前から注目を集めていた本作。蓋を開けてみれば、その前評判に違わぬ反響ぶりで、配信2週目にはNetflixのグローバルランキング(非英語作品)で首位を獲得するという大ヒットとなった。
パク・ヒョンシクが演じるのは、長官賞を受賞するほど華やかなキャリアを持ちながら、理不尽な医療事故によって全てを失った美容外科医ヨ・ジョンウ。一方のパク・シネは、ろくに睡眠すらとれないほどの激務に追われ、"うつ病"と診断されてしまう麻酔科医のナム・ハヌルを演じた。
第1話の終盤、貧乏暮らしを強いられることになったジョンウが、家賃の安い"オクタッパン(通称・屋根部屋)"に引っ越すと、そこは高校時代に学年トップの座を争っていたハヌルの家であることが発覚。奇しくも同時期に"人生最大のスランプ期"に陥った2人が、思いがけず14年ぶりの再会を果たしたことから、互いの存在に癒しを感じるようになる過程がコミカルに綴られていく。
全国トップの成績を競い合っていたイケメンと美少女が、人生のドン底で再び顔を合わせる――その導入だけでも興味を惹かれるストーリーは、それぞれが抱える"スランプ"の要因がヘビーな内容だけに、ともするとシリアスで重い展開になりがち。だが、あくまでも"大人のラブコメ"を全面に押し出した軽やかなタッチになっている点が、本作の大きな魅力だ。
2022年5月に第1子を出産し、これが3年ぶりの女優復帰作となるパク・シネも今年2月で34歳に。共に30代となったヒョンシクとシネが制服姿に扮し、対抗心剥き出しで張り合う高校時代から、押し寄せるスランプでダメージを受けまくっている現在の姿まで、全力で振り切った彼らの芝居は妙に可愛らしくて、好感がもてる。
2人とも"ロコ職人"として数々の作品をヒットに導いてきたスター俳優だけに、時に「そこまでやって大丈夫?」と心配になるほどだが、ヒョンシクに至っては"貴公子"のイメージとはギャップのある変顔も連発。シネも、精神的に追い詰められているハヌルの感情の起伏を体現しており、インパクト大なコメディ演技が最高だ。
互いの痛みを分かち合ううちに頑なだった心が解け、好意を抱いていく王道のロマンスシーンもキュンの連続。相手の胸を真っ直ぐに射貫くジョンウのセリフや、ハヌルの情感豊かな涙の演技など、コメディとロマンスが絶妙なバランスで溶け合う2人のやり取りは、後半に行くほど味わい深いものがある。酸いも甘いも知る大人カップルだからこその、ドン底から這い上がる再生のストーリーにはグッと心を掴まれてしまうことだろう。
約10年ぶりの共演となるパク・ヒョンシクとパク・シネだが、流れた歳月を感じさせない相性抜群の"ケミ"がお見事。今を精一杯生きる全ての人の心を包み込むような"笑って泣ける"ドラマを完走すれば、何だか心が浄化されたような爽快感が味わえるはずだ。
文=川倉由起子
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