坂口健太郎が無言ながらも濃度の高い演技を見せた、ドラマ「競争の番人」
2024.3.19(火)
「公正取引委員会」という名を耳にしたことがあっても、その実態を知る人は少ないのではないだろうか。そんな彼らを主人公に展開するエンタメ・ミステリーが、2022年のフジテレビ月9ドラマ「競争の番人」だ。坂口健太郎が理屈っぽい天才の審査官を、杏が刑事から公取委に異動となった新人職員を演じ、彼ら2人がバディを組んで談合やカルテルといった企業の不正を暴いていく。
捜査一課の刑事である白熊楓(杏)は、ある事件で犯人を取り逃がした責任を問われ、公正取引委員会に異動となってしまう。審査局第六審査、通称"ダイロク"に配属された彼女は、東大法学部を首席で卒業した優秀な人材という小勝負勉(坂口健太郎)とバディを組むことに。考えるより先に体が動き人情にも厚い白熊と、頭が良すぎるゆえに突飛な行動を取りがちな小勝負は、互いにぶつかり合いながらもダイロクのメンバーと協力して不正に関わる調査に臨む。
杏の月9ドラマ出演は、主演作「デート~恋とはどんなものかしら~」(2015年・フジテレビ系)以来7年ぶり、坂口は今回が初となる。

坂口は「シグナル 長期未解決事件捜査班」(2018年・カンテレ・フジテレビ系)で捜査班のプロファイラーを演じて好評を博し、「イノセンス 冤罪弁護士」(2019年・日本テレビ系)では冤罪に立ち向かう若手弁護士を好演。刑事ものや法廷ものといった人気ジャンルで主演を張ってきた坂口だが、ドラマ史上初の試みでもある公正取引委員会という題材で主役を演じるのは大きな挑戦だったのではないだろうか。
小勝負という人物を見ていると、坂口が持ついい意味でのクセのなさが如実に感じられる。パンチが強いわけではないのに、ひょうひょうとした透明感のある柔らかさで印象に残る雰囲気。そんな彼独特の空気感が、小勝負というキャラクター造形に一役買っているように思えてならない。

彼が醸し出すミステリアスな雰囲気も物語に絡む重要なファクターだ。小勝負は序盤から提示されるように過去に何かを抱えており、それが彼独自の仕事に対する姿勢につながっている。
静かにふつふつと湧き上がる使命感を瞳の奥にたたえながら「弱くても、戦わなきゃいけない」と自らの哲学を語る姿。そんな小勝負の言葉に視聴者は胸を打たれ、彼にそのような言葉を吐かせる過去の傷はいったい何なのかと好奇心をかき立てられるのだ。
ドラマの終盤で小勝負は過去の因縁との対決を迎える。追い続けた宿敵とついに相対する場面で坂口は、15年という歳月の間に積もり積もった怨讐と燃えたぎる正義とを、無言の瞳のうちに凝縮してみせた。短いながらもとてつもなく濃度が高いこのワンシーンで、坂口健太郎という役者の凄みを感じることができるだろう。
坂口はインタビューの中で、「小勝負の"弱くても、戦わなきゃいけない"というセリフが僕は好きなんです」と語った。それは放送当時、視聴者の心もつかんだ言葉だ。自らを踏み潰そうとする強者への怒りを忘れず、弱くても戦おうとする姿――坂口が完成させた小勝負というキャラクターは、不正や不公平に敏感な社会に生み出された新たなヒーロー像なのかもしれない。
文=本永真里奈
放送情報【スカパー!】
競争の番人
放送日時:4月8日(月)12:10~
放送チャンネル:フジテレビTWO ドラマ・アニメ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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