山下智久の独立後の姿を追ったドキュメンタリー「挑戦者・山下智久」
2024.3.14(木)
歌手、俳優、タレント。芸能生活28年となる山下智久の職業は基本的にこの3つの単語で表される。だが、彼に最もふさわしい肩書は「表現者」もしくは「挑戦者」ではないだろうか。そんなことを思わせるのが、山下智久の独立後の姿を追ったドキュメンタリー「挑戦者・山下智久」だ。
2020年に独立した山下は活躍の場を世界へと広げ、2023年には「神の雫/Drops of God」で海外ドラマ初主演を果たす。さらに同年7月には独立後初となるアルバム「Sweet Vision」をリリースし、翌8月からは自身5年ぶりとなるアリーナツアーを開催した。
本作「挑戦者・山下智久」は、あくなき挑戦を続ける山下に密着したHuluオリジナルのドキュメンタリー番組だ。初の海外ドラマ主演と独立後初のツアー、そして山下たっての希望で敢行した韓国ロケという3つの要素を軸に、韓国編・音楽編・日本編という3つのテーマで山下の考えや人生観を掘り下げていく。
まず前半では、山下が愛する国・韓国へ。韓国は彼が一番最初に訪れた海外の地であり、友人も多く住んでいるという。そんなゆかりの深い地で、山下は観光スポットを巡りつつ韓国グルメに舌鼓。街の人と触れ合う彼の姿は気さくな青年そのものだが、合間に挟まれるインタビューではやはり挑戦者としての力強い眼差しが感じられる。
「韓国編」のメインとなるのは、韓国エンタメ界で活躍するイ・デフィとの交流だ。ボーイズグループ・AB6IXのメンバーとして活躍するデフィは16歳で芸能界入りし、歌手だけでなく俳優業や作詞・作曲・楽曲プロデュースも行う多才な人物。ともに英語も堪能な2人は初対面ながら意気投合し、世界を舞台に活躍する同志としてフランクに語り合う。

山下はデフィよりも15歳年上で、芸歴でも大先輩でありながら、相手をリスペクトしつつ同じ目線で話す姿が印象的だ。場所を移しつつ、2人は最後に夜中の漢江(ハンガン)を走るクルーズ船へ。きらめく夜景の中で未来について交わした言葉は彼ら2人にとって大切な思い出となり、視聴者にも深い気づきをくれるはずだ。
中盤の「音楽編」では、独立後初となるアリーナツアーの裏側に密着。山下が「会場を押さえるところから全部が手探りだった」と語るように、今回のツアーはこれまでとは一味も二味も違うライブになった。細かな演出や照明の一つにまでこだわり、さらにはリハーサル最終日に急遽歌詞を追加するなど、妥協を許さない創作者としての姿勢をうかがい知ることができる。

後半の「日本編」では、山下が様々なジャンルのプロフェッショナルと対談を実施。中でも注目すべきは、山下と十年来の仲であるリリー・フランキーとの対談だ。20代前半でリリーに出会った山下は、「『自分がルーキーでいられる場所に身を置いたほうがいい』というアドバイスがすごく心に残っている」と語る。この言葉こそが、挑戦者・山下智久の根っこの部分を形作っているのだろう。
「不安だから自分をアップデートしていかなきゃって、ずっと思ってます」。終盤のインタビューで山下はそう語る。そこにあるのは、ストイックな軸を持ちながらも柔軟に生まれ変わり、自らをアップデートし続ける挑戦者の姿だ。不安定で変化の激しい時代を生きる私たちにこそ、挑戦者・山下智久の生き方が必要なのかもしれない。
文=本永真里奈
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