木村文乃が、孤独と心の葛藤を抱える女性を演じるヒューマンドラマ「LOVE LIFE」
2024.2.29(木)
ヴェネチア国際映画祭、トロント国際映画祭など、さまざまな映画祭に正式出品され、海外でも高い評価を受けたのが木村文乃主演の映画「LOVE LIFE」だ。メガホンをとったのは「淵に立つ」がカンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞を受賞し、「よこがお」がフランスで800館の映画館で上映された深田晃司。本作を作るきっかけになったのは、監督が20歳の頃に聴いた矢野顕子の楽曲「LOVE LIFE」。"どんなに離れていても 愛することはできる"という歌詞から始まるこの曲から受けたインスピレーションをどうしたら物語として映像化できるのか考え続け、完成させた作品だ。
そんな本作で木村が演じたのは集合住宅に夫・二郎(永山絢斗)と幼い息子・敬太(嶋田鉄太)と暮らす妙子。タイトルからハートウォーミングで明るいストーリーを想像する人も多いと思うが、描かれているのは近くにいてもすれ違っていく心と、誰もが抱えている孤独、そして年を重ねても不完全で未熟である人間のありようだ。
子連れで二郎と再婚し、広場を挟んだ向かいの住宅に夫の両親が住んでいるにも関わらず、未だに義父から結婚を祝福してもらうことが出来ていないと感じる妙子の、心の内側に抱えているモヤモヤが冒頭から伝わってくる。空虚な心、抑えきれない衝動など、その複雑な心を見事に表現した木村の顔が胸に刻まれて忘れられなくなるような作品だ。
■突然の悲劇に表情をなくすヒロインの心理を木村が細やかに表現
(C)2022映画「LOVE LIFE」製作委員会&COMME DES CINEMAS
問題を抱えつつも、平和な日常を過ごしていた一家に、予想だにしなかった悲劇が襲いかかる。優しかった義母も取り乱し、妙子に心ないことを口走ってしまったりと、夫婦は追い詰められていく。しかし、自分を責める妙子は憔悴しながらも二郎と普通に会話をし、決して泣き叫んだりはしない。滅多に目を合わせない夫婦の距離感と、感情を内側に押し込める性格の妙子。心情のみならず、家の中に漂っている重苦しい空気までが映像を通してリアルに伝わり、登場人物の心理が細やかに描き出されていく。そんなヒロインの心の扉を破ったのは元夫でろう者のパク・シンジ(砂田アトム)だった。かつて姿を消したパクが、突然妙子の前に現れたことによって、妙子がそれまで抑え込んでいたものが堰を切ったように溢れ出すシーンなど、難役に挑んだ木村から目が離せなくなる。
■喪失感と虚無感の中、生きていく主人公が選んだものとは?
NPOでホームレス支援活動を行なっている妙子はホームレスになっているパクを放っておくことができず、市役所の福祉課に勤めている二郎からの勧めもあり、就職活動の相談に乗ることになる。手話で笑ったり怒ったり、表情豊かにパクとコミュニケーションをとる妙子を見て、複雑な心境に陥る二郎だったが、二郎もまた、妙子と結婚する前に付き合っていた元恋人と再び会うようになる。
自分の気持ちに正直で頼りなく、捨て猫を放っておけない優しさを持つパクと、妙子と同じように本当の気持ちを表現することが苦手なポーカーフェイスの二郎。誰もが器用には生きていけず、「ひとりで死ぬのが怖いの」と妙子に話す義母も、孤独を知りながら、孤独とうまく付き合っていけずにいる。
当たり前だった日常が崩れ去った中、ヒロインはどんな選択をするのか――。「LOVE LIFE」というタイトルが意味するものとは?エンディングまで見届けずにはいられなくなる作品だ。
文=山本弘子
放送情報【スカパー!】
LOVE LIFE
放送日時:2024年3月3日(日)21:00~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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