反町隆史が挑んだ骨太なミステリー「松本清張没後20年特別企画 『市長死す』」
2024.2.29(木)
年齢を重ねるごとに魅力が増しているワイルドなビジュアルと、熱血教師からクールなテロリストといった、振り幅の広い役柄にも圧倒的存在感を与える演技力で人気の反町隆史。そんな反町が2012年に主演を務めたスペシャルドラマが、「松本清張没後20年特別企画 『市長死す』」だ。
横川市市議会議員・笠木公蔵(反町)のもとに、伯父である市長の田山与太郎(イッセー尾形)が、温泉で遺体となって発見されたとの連絡が入った。すでに無断で6日も議会を欠席していたため、定例市議会では市長に対する野次が飛び交い、場内は騒然。市長の秘書・矢崎(春海四方)が責め立てられていた中での訃報だった。矢崎は、市長が視察を兼ねたクラシックコンサートの途中で、突然「急に用事を思い出したから、明日の議会は欠席にしてほしい」と言って姿を消したことを、ずっと不思議に思っていたこと、さらには、向かった先の志摩川(シマカワ)温泉のことを"シマガワ"温泉と言ったことで、初めて行く町だったのではないかと不信感を募らせていたことを笠木に明かす。堅物で通っていた伯父が私用で仕事を抜け出したことを不審に思った笠木は、市長のところに通っていた家政婦のスミ子(倍賞美津子)の協力のもと、市長の部屋で遺品整理に着手。そこで発見した伯父の日記によって、芳子(木村多江)という女にほれ込んでいたという伯父の意外な一面を知る。事件の真相を突き止めるため、笠木はスミ子と共に、市長が遺体で発見された志摩川温泉に再び足を運ぶが...。
反町が演じるのは、市長だった伯父の死を不審に思い、真実を突き止めるために奔走する市議会議員・笠木公蔵。混乱する市議会議場を眺めながら、ひとり静かに伯父を亡くした事実を受け止めるシーンでは、清潔感漂うビジネススーツ姿と、チャームポイントでもある低音の美声を響かせてのモノローグを披露。母から伯父の死を知らされ、遺体が発見された地へ市議会議長と市長秘書と共に出向いた笠木は、警察の遺体安置所で冷たくなった伯父と対面する。このシーンでの反町の演技は、本作最大の見どころといっても過言ではない。遺体にゆっくりと伸ばされた手は悲しみに震え、伯父の存在を確かめる指先には困惑が宿る。その後、映し出される反町の表情は、それまでに見せてきた落ち着いた大人の男性の顔から一変。少年のようなあどけなさが感じられる瞳からは涙がゆっくりとこぼれ、「起きて、おじさん」と呼び掛ける声にも、伯父からたくさんの愛情を注いでもらった子ども時代に戻ったような、どこか駄々をこねているようなニュアンスが滲む。ここで披露した反町の熱演によって、笠木が抱く伯父への愛情や、身重の妻に留守を任せてでも事件の真相に辿り着きたいという彼の思いに、圧倒的な説得力が生まれたのだ。
本作が清張作品への初めての出演となる反町。放送当時、「(作品の)世界観をうまく表現できたらと思っています。隠れた名作と言われているこの作品を読ませていただき、骨太なミステリーの雰囲気と、進むほどに深まる謎に引き込まれました」とのコメントを残している。いつしか事件解明のパートナーとなっていくスミ子役の倍賞美津子とのコミカルなやりとりや、物語の鍵を握る女性・芳子を演じる木村多江との息詰まる演技合戦など、反町が実力派俳優陣と共に作り上げた名シーンに注目しながら、あっと驚く結末を見届けてほしい。
文=中村実香
放送情報【スカパー!】
松本清張没後20年特別企画「市長死す」
放送日時:2024年3月18日(月)10:30~
チャンネル:フジテレビTWO
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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