斉藤由貴が探偵役かつ容疑者に!?事件の真相が気になるサスペンス「殺人銀行」
2024.2.22(木)
1984年に芸能界入りし、今年で芸能生活40周年を迎える斉藤由貴。80年代アイドルとしてデビューした彼女は、連続ドラマ初主演となる「スケバン刑事」(1985年・フジテレビ)を皮切りに女優業にも進出。それから今日に至るまで、歌手と女優という両輪で走り続けてきた。
彼女の俳優人生を語る中で避けて通れない存在がある。それは2時間サスペンスだ。振り返ってみれば、火曜サスペンス劇場や土曜ワイド劇場はもちろん、5大キー局すべての2時間サスペンス枠で主演を張っている。今回はそんなサスペンスドラマの中から、難しい役柄に挑むことになった「殺人銀行」(2001年・テレビ朝日)を取り上げてみたい。斎藤は本作で、銀行の預金課長で殺人事件の容疑者となる桐生若菜を演じる。
(C)テレビ朝日 カノックス
若菜(斉藤由貴)が預金課長を務める銀行で、閉店直後に強盗事件が発生。4人組の犯人に金を要求されるが、銀行内が突然停電し、若菜は犯人の一人に連れられて地下の金庫に向かう。若菜が金庫を開けようとしたその時、銃声とともに犯人が倒れ、若菜も何者かの手によって失神。警察が突入した時には、4人の強盗犯の全員が何者かによって殺されていた。
その後の警察の調べにより、犯人一味が過去に銀行の融資を受けられず、当時の責任者であった若菜に恨みを持っていたことが判明。状況証拠もあり強盗犯殺害の容疑者となってしまった若菜は、自らの無実を証明するために動き出す。
(C)テレビ朝日 カノックス
サスペンスドラマには探偵役が必須だが、今作で斎藤が演じる若菜は真相を追う役回りでありつつ、第一容疑者でもあるという点が特徴的だ。彼女は警察の追求に対して無実を訴える一方、元記者の夫や若菜への容疑に疑問を持つ白波刑事(蟹江敬三)の力を借りながら真犯人の手がかりを集めていく。
あまり主体的に動くことがなく、何かと振り回されてばかりの役柄だが、随所で凛々しい表情を見せる彼女を信じてついて行きたくなる。巻き込まれ型でありながら周りを巻き込んでいくという不思議なキャラクターが成立しているのは、斎藤の演技からにじみ出る芯の強さゆえなのだろう。
2時間サスペンスといえば欠かせないものが、追い詰められた犯人が涙ながらに改心するシーン。本作でもその"お約束"は健在だが、ここで特筆すべきは斎藤演じる若菜の葛藤だ。
なぜ、何の落ち度もない若菜が殺人の濡れ衣を着せられたのか。なぜ犯人は若菜を恨み、罪をかぶせようとするのか。その謎が明らかになった時、若菜は残酷な真実に直面することになる。それまでの強さが崩れ取り乱す斎藤の姿に、視聴者は不条理な人間の側面を垣間見ることになるだろう。
最近ではドラマ「いちばんすきな花」(2023年・フジテレビ系)で過干渉な母親を演じ好評を博した斎藤だが、本作では幼い娘を心から愛する母親の姿を見せてくれる。そんな一面にも注目したい一作だ。
文=本永真里奈
放送情報【スカパー!】
殺人銀行 (2001)
放送日時:2月28日(水)10:45~
放送チャンネル:テレ朝チャンネル1
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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