髙石あかり、「ベイビーわるきゅーれ」で見せる、ヘラヘラモードから一気に殺し屋モードに切り替わる演技に注目!
2024.2.17(土)
2021年の劇場公開時、上映館が3館からのスタートだった「ベイビーわるきゅーれ」。単館上映ながらも、元女子高生が殺し屋であるという設定と、髙石あかり&伊澤彩織の痛快なコンビネーション、そして激しいアクションシーンが多くの反響を呼び、2023年にはパート2となる「ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー」が公開され、シネコンを中心に上映館数も飛躍的に増えるなどさらに人気を博した。そんな「ベイビーわるきゅーれ」が3月9日(土)に日本映画専門チャンネルで放送される。そこで、この作品の魅力をひも解いてみる。
本作は、元女子高校生ながらも殺し屋稼業に身を置く杉本ちさと(髙石)と深川まひろ(伊澤)のコンビが繰り広げるバイオレンスアクションだ。まずバディもので重要となってくるのが二人のキャラクターだ。
人の殺し方しか知らない、社会常識が全くないと言っても過言ではない二人が、高校を卒業し、社会常識という壁にぶち当たる。そんななか、まひろがコミュ障でまったく社会に適応できない一方で、ちさとは持ち前の素っ頓狂さでアルバイト先でもしっかり適応していく。

陰と陽のコントラストがこのコンビの特徴だが、バイオレンスアクションというハードな作品のなか、髙石が演じる"陽"の演技が作品にコミカルさとポップさを出すという意味で非常に効いている。特に、明るく無邪気で何を言われてもヘラヘラできる寛容性があるように思わせておいて、沸点を超えた瞬間一気に殺し屋モードに入る髙石の表情の変化は、非常に痛快だ。
元女子高生で殺し屋稼業という設定は、ややファンタジックなのだが、この二人の日常が描かれることで、妙なリアリティがもたらされる。殺し屋という危険な仕事のため報酬はいい。しかしそれ以外がポンコツ。高校を卒業したものの、家賃や保険料、賃貸契約などのいわゆる社会常識が皆無であるなか"どうしたらいいの?でもまあ、何とかなるか~"的な適当さは「そんな感じだよね」と視聴者に親近感を与える。特に銃撃戦が繰り広げられるアクションシーンが激しいだけに、ダラダラと二人で過ごす日常が何とも言えず"良き"となるのだ。

物語のラストは、ちさとがメイドカフェでの横暴にキレてつい殺してしまった本宮泰風演じるヤクザの組長・浜岡一平の仇をとるため、浜岡の娘・ひまり(秋谷百音)の呼び出しに応じる形で敵アジトに二人が乗り込むシーン。待ち受けるのはアクション俳優として有名な三元雅芸演じる渡部ら。
約7分にわたる大立ち回りのなか、伊澤は肉体をぶつけ合うアクション、髙石はドンパチの銃撃戦で相手を倒していく。ここでも髙石はどこかコミカルな間をもたらして、作品に緩急をつけている。最後、マシンガンを手にしてひまりを滅多撃ちにしながら見せる表情は、ちさとというキャラクターを十二分に理解していると思わせるほど痛快であり、まだまだシリーズが続くことを期待してしまうほど魅力的だった。
文=磯部正和
放送情報【スカパー!】
ベイビーわるきゅーれ<PG-12>
放送日時:3月9日(土) 6:15~ほか
ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー
放送チャンネル:日本映画専門チャンネル
放送日時:3月16日(土) 6:00~ほか
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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