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本田美奈子.の貴重なライブ映像から紐解く、唯一無二のアーティストとしての深み

2024.2.5(月)

本田美奈子.ライブ「命をあげよう」(衛星劇場)
本田美奈子.ライブ「命をあげよう」(衛星劇場)

2005年、急性骨髄性白血病のため惜しまれつつも38歳でこの世を去った歌姫、本田美奈子.。1985年にアイドル歌手としてデビューした本田は、圧倒的な歌唱力で人気を博し、1986年にリリースした「1986年のマリリン」では、当時のアイドル歌手としては異例のロックテイスト漂う演出も相まって大ヒットし、トップアーティストの一人に名を連ねた。

その後、女性メンバーのみで構成されたロックバンドでの活動やミュージカル出演などで活躍の場を広げながらも、ソプラノ的な唱法でクラシックの曲に日本語詞をつけて歌うというユニークなスタイルで新境地を切り開くなど、アーティストとしての道を追求し続けた"歌に生きた"伝説の歌姫だ。

2005年11月に逝去し、通夜に参列した親友の南野はワイドショーのインタビューで「私のコメントよりその分彼女の歌をかけてあげてほしい」とコメントしたほど、歌手として歌に懸ける思いの強さは同業者にも一目置かれる存在だった。

本田美奈子.ライブ「命をあげよう」
本田美奈子.ライブ「命をあげよう」

そんな本田の一番の魅力は、やはりライブステージでの歌唱する姿だろう。1995年11月25日に東京・渋谷のON AIR EASTで行われたソロライブでは、歌唱もさることながらステージングが圧倒的。ダンス中にアドリブの振りを入れて会場を盛り上げたり、ステージに腰掛けて歌うなど、観客の顔が見える規模だからこそ出来る演出を駆使して、観客と共にライブを作りあげていく。

一方、2000年11月13日に東京・青山劇場で開催された「本田美奈子15周年記念リサイタル『歌革命』」では、眠った状態で登場して眠りから覚めてミュージカル「ミス・サイゴン」の「命をあげよう」を歌唱してスタートし、歌への思いや半生、デビュー秘話などを語りながら、演歌、昭和歌謡、ポップスなど多ジャンルの歌を披露。"歌う"という一つの表現方法の奥深さや多様性で魅せる。

また、2002年8月31日に東京オペラシティホールで行われた「本田美奈子グラツィエコンサート」では、オーケストラの演奏に合わせて歌唱。"聴かせる"ステージで歌手としての違った一面を見せる。歌が好きで、さまざまなジャンルに挑戦し、ミュージカル出演や声楽に進出するなど、歌うという"道"を追求しつつけた本田だからこそ手にしたさまざまな表現は、アーティストとしての深みとなり彼女を唯一無二の存在に昇華させたといえる。

さらに他アーティストとのコラボでも実力を発揮しており、楠瀬誠志郎とデュエットした「Fall in love with you-恋に落ちて-」ではソロでの歌唱とは一味違った魅力も見せている。

本田がこの世を去って約20年。今でも色褪せない本田のライブ映像を観ながら、"歌う"という一つの道を追求した先にある多種多様な表現を彼女の歌声と共に楽しみつつ、早世した偉大なアーティストの"深み"を感じてほしい。

文=原田健

放送情報【スカパー!】

本田美奈子.ライブ「命をあげよう」
放送日時:2024年2月17日(土)19:00~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります