ダレン・ワンとシャオ・ジャンがライバル関係に...「狼殿下-Fate of Love-」へと繋がる貴重な共演シーン
2024.1.31(水)
アジア中に一大ムーブメントを巻き起こしたブロマンス時代劇「陳情令」(2019年)の配信開始から5年――自身の俳優人生を激変させたシャオ・ジャン&ワン・イーボーは、互いに固定のイメージにとらわれることなく様々な役柄に挑み続け、押しも押されもせぬスター俳優の座を確立した。特にシャオ・ジャンは、香港映画界の巨匠ツイ・ハークと初タッグを組む武侠小説「射鵰英雄伝」の映画化が決定するなど、改めて飛躍の1年になりそうな予感だ。
(C)2019 New Classics International Media Limited
これまでのキャリアはドラマ中心だが、「陳情令」が配信された2019年には、「バイオハザード」シリーズで知られるハリウッドスター、ミラ・ジョヴォヴィッチ主演の中国・ハンガリー合作映画「ザ・ルーキーズ」に参加。「狼殿下-Fate of Love-」(2020年)で再共演を果たすダレン・ワンをはじめ、台湾出身の女優チャン・ロンロン、アメリカ人俳優デヴィッド・マクイニス、香港俳優ラム・シューといった国際色豊かな面々が顔を揃えたSFアクション大作だ。
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世界的なテロ撲滅組織「ファントム」のスーパー工作員ブルース(ミラ・ジョヴォヴィッチ)は、生物兵器「DM85」を盗み出したテロリストを追う中で、驚異の身体能力と度胸を兼ね備えた青年フォン(ダレン・ワン)をスカウトする。早速、黒幕が潜伏するブダペストに飛んだフォンは、香港インターポール捜査官ミャオミャオ(チャン・ロンロン)や発明家ディンと極秘のルーキー工作員チームを結成。人類の存続をかけたデンジャラスなミッションに身を投じていく。
スピーディでダイナミック、かつギャグシーンも満載の本作。「風暴 ファイヤー・ストーム」(2013年)で知られる巨匠アラン・ユエンが監督・脚本を手掛け、「オペレーション・メコン」(2016年)で香港電影金像獎アクション監督賞に輝いたアクション監督トン・ワイのもと、瞬速ガンアクションや壮絶カーチェイスがこれでもかと展開する。
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物語の序盤でフォンのライバル的存在として登場し、華麗な身のこなしを見せているのがシャオ・ジャン演じる"フェニックス"だ。高所での自撮り映像をライブ実況しているフォンが、香港の超高層タワーの避雷針に上っているところに乱入。2人は先を争いながら、見ているだけで足のすくむような高所をパルクールの要領でスイスイと駆け上っていく...。
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ダレン・ワンとはその後、「狼殿下-Fate of Love-」(2020年)で再び顔を合わせることになるシャオ・ジャン。同作では「慶余年~麒麟児、現る~」(2019年)で共演したリー・チン演じるヒロインを介して対立する賞金稼ぎを演じているが、「ザ・ルーキーズ」でもダレン・ワン演じるフォンの競争相手に。ガラリと雰囲気を変え、短髪にバンダナ姿でひょいひょいと鉄塔を登っていく命知らずの猛者を快演している。シャオ・ジャンのブレイク直前の姿が垣間見える点でも貴重な合作映画だ。
(C)2019 New Classics International Media Limited
シャオ・ジャンの登場シーンはこの1シーンのみだが、主人公フォンは避雷針のてっぺんから転落し、何とかパラシュートを開いて着地。そこでダークスーツを身にまとったブルース(ミラ・ジョヴォヴィッチ)と劇的な出会いを果たすことになる。そして、スカウトを受けたフォンがカッコつけながら「俺に、ジェームス・ボンドになれと?」と問いかけると、「そうだ」とクールに答えるブルース。そんなダレン・ワンのコミカルな演技も楽しい。
(C)2019 New Classics International Media Limited
こうしてフォンは世界を股にかけたスパイ組織に巻き込まれていくのだが、その後もハリウッドスターのミラ・ジョヴォヴィッチを相手に一歩も譲らない互角の存在感で圧巻のSFアクションを繰り広げている。正直なところダレン・ワンとシャオ・ジャンとの絡みがもう少し見たかった...というのが本音だが、それでも「狼殿下-Fate of Love-」へと繋がる布石としても楽しめる1作だ。
文=酒寄美智子
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