生田斗真、門脇麦が「心の乾き」を体現!30年の時を経て映像で蘇ったヒューマンドラマ「渇水」
2024.1.14(日)
「水」は人にとって、また、あらゆる生命にとってなくてはならないもの。水道が整備された現代で水に困ることはあまりないが、料金を支払わなければ給水を止められてしまう。つまり、普通に生活できない状況に立たされる。そんな「水」という生命線を挟んで向かい合う、止める者と止められた者の葛藤と悲哀を描き話題となったのが、2022年に公開された映画「渇水」だ。
原作は1990年に第70回文學界新人賞を受賞した河林満の同名小説で、第103回芥川賞候補作にもなった。30年以上前の作品だが、作者自身、給水停止業務に関わった経験があり、止める側の苦悩や止められる側の反発、壊れていく生活などがリアルに描かれている。
給水を止める「停水執行」を業務とする主人公・岩切俊作を演じるのは生田斗真。雨が降らず給水制限が発令された真夏の前橋市が舞台で、岩切は日差しが照りつける中、停水執行のため街を駆け回る。
当初の岩切は淡々としていて、料金未納者の給水を止めることにあまり抵抗がないように見える。最初に停水執行し、「お支払い、お待ちしています」と言う時の表情は、「ルールを守らないそちらに問題がある」といった様子だ。車の中で同僚の木田拓次(磯村勇斗)に、ライフラインを止めるこの仕事をどうすれば好きになれるか問われても、渋い顔はするが「好きでやってるわけじゃない。けど、嫌いでもない」と答える。
(C)「渇水」製作委員会
門脇麦が演じる小出有希の家でも、岩切は縁側にいた小出に「普通、携帯より、水道代が先でしょ」と諭すように言ったり、生活保護を申請するよう勧めたりもする。小出も小出で、邪険な態度で早口で喋り、指にマニキュアを塗り続ける。小出に料金を支払う気がなく停水執行となった時に、小出の娘である2人の姉妹が帰ってくる。そこから、物語が静かに動き出す。まだ歳のいかない姉妹を心配してか、岩切は停水執行を1週間に伸ばすことにする。
岩切は既婚者だが、ある事情から妻と子供は実家に戻っている。静まり返ったリビングで1人、料理をしたり、バスタブから水を汲んで庭のひまわりにやったり、虚ろな家で虚ろな生活を続ける岩切の姿からは、家族との時間を求めながらも得られない、ある意味"乾いた状態"であることが伺える。
家族が乾きを癒す存在だと思っているからこそ、岩切は小出の家の停水執行を躊躇したのかもしれない――ふとそんな風に思ってしまうのは、潤いを失った岩切の心の乾きを、生田がしっかり体現しているからだろう。
一方の小出は貧困にあえぎ、マッチングアプリで知り合った男性と時間を過ごして金銭をもらったりしているようだ。追い詰められているせいもあってか、約束した男性がもう若くない自分の姿を見て逃げようとした時には、どうにもならない状況に怒りをぶつけ身体を小刻みに震わせる。その時の門脇の演技は胸が痛むほどで、彼女もまた、貧困によって心の潤いを失っている様子が伝わってくる。
しかしその後、小出は姿を消してしまう。2人の姉妹を家に残して...。
そしてついに、小出家に停水執行の時が来る。岩切らは停水前、風呂や桶に水を溜めておくよう姉妹にアドバイスするが、小出が戻らないため、やがて溜めていた水も生活費も尽きてしまう。
困窮極まる中で、妹を守りながらもどんどん荒んでいく姉の恵子(山崎七海 ※「崎」は正しくは「たてさき」)。岩切もまた、険悪な態度を取られながらも業務を続け、そんな中でますます家族への想いを募らせていく。
岩切が、2人の姉妹が、心の乾きを癒せる時は来るのだろうか。30年もの時を経て映像として蘇ったヒューマンドラマが描き出す心の物語を、生田斗真や門脇麦らの演技とともに、じっくりと味わってほしい。
文=堀慎二郎
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